魔界が金欠らしいので魔王に家計簿つけさせることにした
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「問題はこれからどうするかよ」
あたしは静かに切り出した。オズワルドが顔を上げてこちらを見る。
「魔素は増えてない。減少は止まったけどこのままじゃジリ貧よ」
「その原因も解明できていないしな」
オズワルドは苦い顔で髪を掻きむしる。悔しげな顔はまるで魔素の増減が自分の責任だと思っているように見えた。
「原因解明は必要だけど、それより急務があるわ。今枯渇しかけたこの状況で、どう回復まで持ち堪えるか」
沈黙の中、あたしは頭の中で状況を整理し始めた。
魔素は魔界の全てを支える資源。魔素がないと何も回らない。で、その魔素が足りてない。
魔法は魔素の力で行使する
魔界の全ては魔法の力で決まる。
――あー、なるほどね。
「経済破綻、ってやつじゃない?」
「……は?」
アシュヒトさんが変な声を上げる。不思議そうな顔をしている彼を見返して、繰り返した。
「だからさ。何をするにも魔素が必要なわけでしょ? 魔法使うにも、あかりを灯すにも、ぶっちゃけ掃除洗濯にも全部。まあいわゆる『金欠』ってやつじゃない?」
「魔素が人間界の貨幣の扱いを受けている……!?」
愕然とした表情を浮かべるオズワルド。何がそんなにおかしいのかよくわかんないけど。
「だってさ、電気ガス水道、娯楽武器武装、全部を支える資源なんて、カネ以外ある? ないでしょ」
「デンキガススイドウ。」
「というわけで、家計簿つけるところから始めるわよ家計簿」
「魔素が家計簿で管理される……!?」
パチンと手を叩いて立ち上がる。そうと決まれば早速行動よ。
「ナガちゃんノート用意して! アシュヒトさん魔素の単位と最新の状況。オズワルド、あんたとりあえずこの魔王城でどんなところで魔素使ってるか洗い出して」
「妃殿下、流石にあの家計簿というのはあの」
言いかけたアシュヒトさんを無視して宣言した。
「今後はできる限り家計は引き締めていくわよ! 質素倹約、節約生活! まずはリーダーであるオズワルド。あんたの生活から全部見直すわよ!」




