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「だ・か・ら何度も言ってるじゃない!何があってもこの結婚を破談には出来ないってこと」
「ねぇ、…茉愛沙…そんなんで幸せ?」
椿の言葉に胸がつまる。
青葉の事を口に出さない椿。
今の話だけで青葉との事がどうなったかなんて口に出さなくても分かってるだろうから。
「…幸せは後から着いてくるものだと…思ってる」
「どう言うこと?」
「何を幸せだと感じるかは感じたその時に分かることよ。そこに居ることなのか、誰かと出会える事なのか、それか…宝物を見つけるかもしれない」
そんなこと…本当は微塵も期待してないのに口が勝手に喋ってく。
「茉愛沙の旦那ってさ恐ろしいほど男前だよね」
「そうかな。その辺は人それぞれの好みでしょ」
「いや、あれは100人が100人ともそう言うと思うよ」
「う…ん。そうなのかな…
だけど…
私は青葉の方がいい…」
シーンと静まり返る部屋。
要らないことを口にしてしまった。
言ってすぐに後悔した。
「…ごめん」
「…ううん。気にしないで…」
椿の瞳が揺れる。
私の心中を察しての事なんだろう。
現実に心が着いていけてない私の心を
…。
「でもさぁ、断言してあげる」
「?」
「茉愛沙の事も100人が100人とも綺麗だと思うはずだよ」
「そんなこと無いよ」
「何でよ」
「本当に綺麗な人って…居るんだよ。私…見ちゃった」
「どんな人?」
「スラッと背が高くて、顎のラインがスッとしてて、何て言うんだろ。オーラが違うの。真っ赤なスーツとかをビシッと着こなせるような」
「はぁ?今言ったのってさ、まんま茉愛沙の事じゃん」
「はぁ?違うでしょ!私はスラッとしてないし、顎のラインもスッとなんてしてない。目もあんなに切れ長で…」
「『あんな』ってそれ…誰よ」
椿が訝しげな顔をする。
「ん…最近見た人」
「ふーん。あんた鏡でも見たんじゃないの?」
「だから!違うってば。どう見たら私の目が切れ長なのよ!」
丸い目が更に丸くなってるだろうって事を自覚しながら椿に反論する。




