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「茉愛沙さ、近いうちに時間とれない?」
「いいよ。時間ならいくらでも。あ、週末は駄目だけど」
「予定有るんだ」
「うん。パーティーだって」
「うへ…」
椿は私がパーティーに行くって言うと、ドレスアップしてパパに連れられて行くあの姿を見てるから…
堅苦しいのが苦手な椿。
自由で気ままな猫の様な彼女にはその先を想像するだけでも耐えられないらしい。
私はいつでもそれが羨ましくて仕方がなかった。
早々に赤ちゃんが出来たからって結婚しちゃった椿。
でも、幸せオーラ全開で…
眩しくて仕方ない。
「ねぇ、赤ちゃんいつが予定日だっけ?」
「えへへ。もうすぐ」
「…まさか…臨月なの?」
「そうだよ」
「それで披露宴に来くれたの?」
「あったり前じゃん。産んだ当日だって出席するよ」
「…椿」
「バカだね。あんたは1人じゃないんだよ」
「うん」
「茉愛沙、一緒に幸せになろうね。あんたは幸せにならなきゃいけない子なんだよ。だって…こんなに良いヤツいないのに…」
ポロポロと涙を流しながら私の手を握る椿。
「…実はさ…」
涙をぬぐいながら話を続ける。
「…兄ちゃんに聞いてたんだ」
「え…?」
「とうとう…その日が来たって」
「!」
「分かってたんだよ。手の届かない存在だってことは…」
「そ…そんな」
「だからさ、2年以上も付き合ってんのに兄ちゃん、茉愛沙に手をだしてないでしょ」
「…」
「キスは奪われちゃったかも知んないけどね」
「つ、椿!」
「20歳にもなってバージンなんて天然記念物に登録したいくらいだよ」
「…」
「だけどさぁ。兄ちゃん、いつか来るこの日の為に…
茉愛沙だって分かってたでしょ?兄ちゃんとは…結婚できないんだって」
「…」
分かってた。
分かってたけど『うん』とは言えなくて…
最初から青葉の事は一時の物だったんだとと思われたくなくて…
「私は青葉が好きだった」
「知ってる」
「青葉との時間は遊びとか、嘘なんかじゃない」
「知ってる。茉愛沙がそんなこと出きる子じゃないってことも。兄ちゃんだって分かってるよ」
「…そ…だね」
付き合う前から。
思いに気付く前から。
出会う前から。
生まれた時から。
私は三条家の娘なんだから。




