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「今日は本当にお世話になり、ありがとうございました」
大森さんに挨拶をして控え室をでた。
扉を背にしてふぅ…と大きく息を吐き出し今からの事を考える。
二次会がある事は知っている。
でも誰が来るのかも聞かされていないし、何よりも場所も聞いていない。
友人関係のみだと思うけれど、それでも会社関係の方も来るかもしれない。
……どうしたものか。
とりあえずロビーの方へ…
「…!」
そこには…
零が壁に背中を預けて立っていた。
天井にタバコの煙を吐き出しながら。
待っていてくれたんだろうか?
それとも
『帰れ』
と言う為に待っていたのか…。
「お疲れ様です」
そう言ってゆっくりと近づく。
近づかれるのか嫌なら背を向けて行くだろうと、その間を持つ。
でも、零は私が側に行くまで動かなかった。
追い付いた頃壁から背を離し先を歩く。
少し戸惑いながらも着いていった。
聞くべき?
黙って着いていくべき?
「2次会は《shell》だ」
「…はい」
これは、
『来い』
と言うことだろう。
肩に掛けていたバックを零とは逆の方にかけ直した。