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結婚式は親族だけ…と言っても、両家の親族だけでもかなりの人。
親戚って…どこまで呼んだの?
と、見たことない人まで三条を名乗っていることに苦笑いがでた。
まぁ、勝手に列席出来るわけもないから、パパが招待したんだろうけど。
今や、三条家の中では私は神様の様に扱われている。
『茉愛沙ちゃんのお陰で、この先も三条家は安泰だ…』
と。
それだけ桐生家と親類関係になるという事は特別なこと。
私からしたら神どころかただの生贄の気分だけれど。
式が始まる前にママが会いに来てくれた。
「綺麗よ…」
そう言って私のティアラを目にして
「私のを譲り受けて貰おうと話したら、
『それはこちらで…』
と、零さんが用意された物よ」
「レンタルかしら」
「まさか!何て事言うの!冗談でもそんな事を言うものでは無いわ。これからは公式の場に着けて出ることが有るでしょうから、大事になさい」
と、満足そうなママ。
皇族でも有るまいし…
そりゃ、確かに桐生家の嫁がレンタルのティアラって…笑われるわね。
私は今日から日本でも指折りの資産家の家族の一員になる。
しがらみ、妬み、嫉妬、あらゆる負の感情を持った者が私を襲ってくるだろう。
特にこう言う一族は身内からの攻撃が半端ない。
そんなことは散々学友である友達から聞いてきた。
そして、それらから私を守るのは誰でもない私自身。
他の誰も守ってくれなんてしない。
そして…
誰も信じない。
本来なら旦那様が守ってくれるものなんだろうけど…
あの時の様子だと、零は私には触れる事はないだろうから子供は…望めない。
私に味方してくれるものも、私の生き甲斐になるはずの子供も望めないのだろう。
それだけは…考えると辛かった。
だけど…
それも全て覚悟の上。
私が三条の娘としてこの世に生を受けた時から、私の意思とは関係なく駒として利用されることは決まっていたこと。
その相手が《零》と言うだけ。
《桐生家》と言うだけ。
相手がどこでも誰でも同じこと。