第2章
6月の梅雨の気まぐれな晴れ間。
本当にそんな言葉がぴったりの日だった。
昨日までどしゃ降りだったのが嘘の様に晴れた。
空は青空。
雲一つない。
今が梅雨なのかと疑う様な日。
真っ白なドレスに身を包み年代物のアンティークレースのベール。
その上にはレンタルだか何だか知らないけど物凄くゴージャスなティアラが付けられた。
まぁ、《あの》桐生家がレンタルとは考えられないけれど。
ドレスも某高級ブランドのオーダーメイドで、世界に1着だけの代物。
何度も採寸、試着に海外から足を運んで貰った。
この2ヶ月と言う短期間によく間に合ったものだ。
かなりのお金を叩いて無理矢理間に合わせたんだろうけど…。
そして生花で作られたブーケは私のお腹の高さから床に届きそうなゴージャスなもの。
11時からの式に私は朝7時から支度に追われていた。
メイク、髪、衣装、最終打ち合わせ…
「うっわ!先日お会いした時より更にお肌がツルツルですね」
担当のヘアメイクの大森さんが大袈裟な声を上げる。
「エステのお陰です。腕が良かったので」
と言うととても喜んでいた。
だってこの人の店のエステに通っていたんだから。
肌のチェックを済ませ、髪をカーラーで巻く。
「凄く綺麗な髪ですね…地毛ですか?」
「ええ。クオーターなので」
「うわ!格好いい!やっぱり本物は違いますよね。色も綺麗だし何より艶々」
そう言って腰まで有る髪に櫛を通す。
薄い色素のブラウンの髪。少しグレーっぽく見える時もある。綺麗なストレートだと良いんだけどナチュラルにほんの少し大きくウェーブが入ってる。
今は毛先をカーラーで巻いているからアップにした時かなりのボリュームと、ゴージャスな感じになると思う。
わざと後れ毛を作り、かっちりしすぎず、甘すぎず、ドレスに合わせて結い上げられていく私の髪。
さすがはプロ。
そして仕上げのメイクも私の薄いブラウンの目に合わせて優しい雰囲気に仕上がった。
今日は決しておめでたい日ではない。
私の器量の試される日。
そして…
私の中では
忍耐の結婚生活が始まる。
いや、闘いかも知れない。
回りとの…
そして何より自分との…




