前世の記憶6
保さんと美沙さんとの暮らしは、ただひたすらに申し訳なかった
保さんも美沙さんも30歳という若さで田舎暮らしを決めて移り住んで来た
結婚して2年間2人で必死に働いてお金をためておじいちゃんの土地家屋を購入したのだ
美沙さんはデザイナーの仕事をしていて、パソコンとタブレットがあればどこでも作業できるからと農業を手伝いながら家事も仕事もこなしていた
保さんはプログラマーとして働いていたが、農業に強いあこがれを持っていたらしく美沙さんと出会う前から田舎での暮らしを計画していたそうだ
実際引っ越してきてみるとわからないことや大変なことがたくさんあり、おじいちゃんにとてもお世話になったと話を聞いた
特に美沙さんはデザイナーの仕事とこちらの生活の両立がとてもきつかったらしく、私が家事と農業のお手伝いをしてくれるなら住み込みで働いてほしいと言ってくれた
市役所の仕事をする前はおじいちゃんの畑仕事を手伝いながら家事をしていたので、私にできることがあるならお願いしますと伝えたところ、とても喜んでくれた
雑用係のお仕事も楽しかったけど、おじいちゃんが亡くなってから無断欠勤をしていて、それも申し訳なかったので、この家に住み込みで働くかどうかは考えさせてくださいと伝えたけれど、自殺しようとしたのに一人にさせられない!と押し切られた
次の日には市営団地の部屋を引き払い、市役所に電話し、挨拶に行った
職場の人達も私の事をかなり心配していたらしく、市役所で働きたくなったらまた戻っておいでと言ってくれて、嬉しくて泣いてしまった
それからの生活は朝4時に起きて朝食昼食のご飯作りや農作業の準備、手伝い、保さんより早めに帰宅したらお風呂の準備と掃除洗濯をして夜ご飯を作る、保さんと美沙さんが入浴した後にお風呂に入り、みんなで夜ご飯を食べたら洗い物や片付け、明日のご飯作りの下ごしらえをする
美沙さんはかなりのお酒好きで必ず晩酌をするのでおつまみとお酒をセットしリビングに持っていく、あとは二人の邪魔にならないようにもともとお兄ちゃんが使っていた2階の部屋に私は戻り、おじいちゃんとおばあちゃんに今日過ごしたことを語りかけながら眠る
最初はとても喜んでくれていた2人は、日々過ごす中なぜか変わっていった