前世の記憶7
美沙さんは私に嫌味を言ったり、何も悪いことをしていないのに責められることが増えた
最初は全く気づかなかったのだが、最近になってから私にわかるように嫌がらせをしてくるようになったのだ
作ったご飯を不味いと捨てられることもあった
その度に保さんが私をなぐさめてくれた
私は2人の邪魔になりたくないので出て行きたいと話したときも美沙さんはぜひそうしてほしいと言っていたのに、保さんが私がいないと家事や畑仕事の手伝いは美沙さんがやることになる、それが嫌だから私に居てもらってるのにどうしたんだと引き止められる
美沙さんはその話をするたびに私を凄い顔で睨みつけて、まあ家政婦でしかないのだから調子に乗らないでねとささやいてくる
もちろんです、わかっていますと言っても、美沙さんと前のように仲良く話すことは無くなってしまった
絶対私の存在が2人の邪魔になってるから、せめて住み込みで居るのを辞めようと保さんに相談したのだが、保さんは若い花さんに嫉妬してるだけなんだから気にせず住んでほしい、きっとデザイナーの仕事が上手く行ってなくて機嫌が悪いんだと言われてしまった
私は社会経験が乏しく、平穏でまともな生活をしていたのは市役所で働いていた時くらいだ
恋愛などしたこともなかった為に保さんの好意に気づくことすら無かった
保さんの善意を無下にすることもできず、美沙さんの嫌がらせのことは今までのように耐えて淡々と仕事をこなせばいいのだと浅はかな考えを持っていた
何もわかっていなかったからこそ、保さんと美沙さんが以前のように仲良くなれるよういろんな計画を立てたり試してしまった
すべてが逆効果になるとはみじんも思わなかった…
家の裏山を30分ほど歩いたところに、おじいちゃんおすすめの花畑があるので2人でピクニックに行ってみてはどうですかと言って誘い、お弁当を作って2人を案内した
花畑につくとレジャーシートとお弁当をセットし、私は家事をやり残したからと先に帰宅したのだが、2時間後に美沙さんが泣きながら帰ってきて仕事部屋に引きこもってしまった
帰ってきた保さんに事情を聞いたら、花畑を眺めながらまったりお弁当を食べて話していたのに急に怒って泣き出したそうで、理由が分からないと、お弁当も残っているし2人で花畑を見ないかと誘われたが断った
他にも色んな景色のいい場所を調べては勧めてみたのだが、私が関われば関わるほど仲が悪くなっていくのだとやっと気づいた
保さんの善意はありがたいが、私は住み込みの家政婦を辞めることを決意した
決意してからは早かった、市役所に電話して復職したいことを伝えると明日からでも!と歓迎してくれた、市営団地も住んでいたところが空いていたのでそこに戻ることにした
美沙さんに出て行きたいと伝えると、保さんに言わずに帰ってくる前に早く出て行ってほしいと言われたので、前住んでいたところに戻るから、荷物だけ着払いで送ってほしいと伝えて最低限の荷物を持って家を出た
そのまま市役所に挨拶に行き、団地の管理を担当している人に住むところが無くなったので申し訳ないが今日から入れないかと無茶な相談をしたが部屋空いてるし大丈夫と言ってもらえて安心した
部屋に入ってからは、空っぽの部屋で一人になったことを実感したけど、これからはおじいちゃんに言われたように好きなように過ごして生きるのだと決意した
何をしよう、とりあえず貯金して、県外に旅行にでも行ってみようか
今までずっと家族や人のために頑張ってきたから、今度は自分のためだけに生きてみようとこれからのことを考えていた
おじいちゃんとおばあちゃんのために過ごすのも、家政婦として過ごしていたときも皆が暮らしやすいようにと朝から晩まで考えていたけど、自分が暮らしやすいようにと考えたことがなかった
みんなの好きなものを作り、支えることが当たり前だった
まずは私自身の好きなものを見つけないと、かな?




