第六十話「消失」
瀬那と蓮人が屋敷の調査に向かっていた頃と同じくして、結月と実桜は街の巡回に出ていた。
「小さな妖魔の出現くらいで、特に大きな異変はなさそうですね」
「そうですね」
結月と実桜は普段通りの巡回を終えて、宮廷に戻ろうとしていた。
その時、凛の式神が結月と実桜のもとに降り立った。
式神は童の様相をしており、そこに表情はない。
「実桜さん」
「はい、凛さんからの伝言ですね」
『セナ、レント、ケハイショウシツ。イソギ、ヒガシノヤシキヘムカワレタシ』
「「──っ!」」
「瀬那さんと、蓮人くんの気配が消えた……」
「向かいましょう」
「はいっ!」
結月と実桜は瀬那と蓮人が調査に向かった、東の屋敷へと駆けだした。
目的地へ向かう間に実桜が、凛の式神に指示を出す。
「凛さんに承知と伝えてください」
式神はこくりと頷くと、再び宮廷のほうへと飛び立った。
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結月と実桜は、東の屋敷に到着した。
「結月さん、気を付けてください」
「はい」
二人は武器を構えながら、屋敷を注意深く観察する。
しばらくの間、屋敷を見て回るが、何も異変はない。
そして、確かにそこに瀬那と蓮人の姿もなかった。
「瀬那さんと蓮人くんは一体どこに……」
結月が言いかけたその瞬間、二人の立つ床がぐらぐらと揺れだした。
「──っ!」
二人は崩れ行く屋敷に巻き込まれそうになる。
結月と実桜は咄嗟に屋敷の外に出ようとしたが、その瞬間に妖魔の気配を感じてそちらを向いた。
そこには、若い男の霊らしきものがいた。
「実桜さん!」
「はい、あの男の持つ鏡から強い瘴気を感じます」
結月はあの鏡に禍々しさを感じ、自らの双剣の片方を鏡に向かって投げた。
結月の投げた刀は見事鏡にあたり、鏡の破片が飛び散る。
すると、崩れていた屋敷がもとに戻り、ぐらつきもおさまった。
鏡が割れた拍子に若い男の霊は屋敷の裏口のほうへと逃げていく。
「鏡の幻……」
「はい、おそらくあの男の霊は妖魔で、鏡を使い幻を見せて油断させていたのでしょう」
「実桜さん、瀬那さんと蓮人くんの気配が消えたのは、あの妖魔の仕業でしょうか」
「そう考えるのが自然でしょう。ひとまず、妖魔を追いましょう」
「はい」
結月と実桜は姿を消した妖魔を追いかけた──
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