魔剣使いと魔法都市へ
これで一章最終話です
偽魔剣が討伐されてから、1週間経った。
偽魔剣によって壊された建物や壁の修復も始まり、街の活気は戻りつつある。
偽魔剣によって、命を落とした者たちへの追悼も済んだ。
偽魔剣は俺が帰ってくるのと同時に回収に向かったハンスたちによって、丁重に保管されている。
俺に対する噂だが、ハンスたちがなんとかしてくれているお陰か「真紅の剣を持った1人の冒険者が倒した」ぐらいにおさまっている。
ただ、アズガレナは『聖剣あたりは妾だと気付くじゃろうな』と笑っていた。ここまでしておいていうのも変だけど、できれば面倒ごとは来て欲しくない。
もちろん、この街のギルド職員やあの場にいた冒険者は俺が倒したことは知っているけど、別に何もなく普通に接してくれる。というか、今までカートたち以外とは話したことある冒険者いなかったから、話してきたという方が正しいかもしれない。
特に、ハンスやニーナさんはゴラムの少し不自然な遺体も回収したはずだが、本当に何もしても言ってもこない。
「ハンスさん、リューズさんが来ました」
「おっ、リューズの今日の買取か?」
今もあの時の前と変わらない雰囲気で買取に応じてくれる。
「はい、お願いします」
「あいよ、今日も大量だな。ニーナ、クエストを頼む」
「はい」
ハンスとニーナさんがせっせと素早く、買取を終わらしてくれた。
「ほい、今日の買取分な」
「そして、これがギルドカードです。Cランクまであと少しですね」
「ありがとうございます」
「そういえば、今日の夜だっけ。お前がこの街を出るの」
「そうですね。馬車の護衛をしながらの移動です。ニーナさんに引き継ぎと移動するため依頼、そして、その街道に出る盗賊の討伐クエストのお願いしましたから」
「そうか、寂しくなるな。移動場所は魔法都市、マーリックだっけ」
「そうですね。本格的に仲間を探そうかなって思ったので」
自分の体質のこともあるし、自分が魔法を使えないこともあって、出来れば魔法を使える仲間が欲しい。でも、魔法を本格的に使える人材を探すのは難しいので、魔法使いが多く集まる魔法都市へ行こうと決めた。さらにこの時期は魔法の論文の発表会があり、それを目当てに来る魔法使いも多い。正直、狙い目だ。
アズガレナも同意してくれた。
「ギルド職員としてはパーティーでの討伐を推奨しているので、こんなことを言ってはいけませんが、貴方がどこまで1人で行けるのか見てみたかったのもあります」
「いや、1人は限界が来るのはわかっています。よくて、キースさんが到達したCランク、それ以上は無理です。なので、魔法が使えない俺に変わって魔法を使えるメンバーを探してきます」
「本当にお前には色々、世話になった。お前がいなかったら、俺たちは、いや、この街はどうなっていたかわからん。本当にありがとう。お前のことは注目しておくよ。いい旅を送れよ。引退する気になったら、このギルドにこい。絶対にギルド職員として雇うからな」
「まだ、20年は引退する気はありませんけどね」
「言うなぁ。それじゃあ、また機会があったらな」
「リューズさん、本当にありがとうございました」
「はい、こちらこそ、ありがとうございました。2人のお陰で、良い冒険者ライフを始められました」
指定された馬車に向かうと行商人には珍しいがっちりとした体格の男が待っていた。
「すみません。依頼で来ました」
「おっ、よろしく。俺はネガだ。一応、確認するぜ。Dランク以上の冒険者だよな」
「もちろん」
持っているギルドカードを渡す。
「OK、大丈夫だ。それじゃあ、出発するが、その隣の女の子も一緒か?」
「あぁ、俺の仲間だから、安心してくれ。迷惑はかけない。それよりも3人で大丈夫ですか?盗賊とか出ますけど」
「だからこそ、俺らが先行するんだ。俺と今、荷台で寝てるもう1人はこの商会で用心棒も兼ねててな。この時期になると、この辺りの魔法都市行きの街道は盗賊が出るので、俺らが先に行って、盗賊をある程度減らしておくのさ。もちろん、荷物も運ぶんだがな」
「盗賊は出会ったら、深追いしてもいいですね」
「もちろんだ。なら、すぐにでも出発したいんだが、多分、お前にお客さんだ」
「リューズさん!!!」
向こうからカートたちが走ってくる。
「じゃあ、俺は準備しておくから、終わったら乗ってくれ」
男はそう言うと御者台に座った。
「リューズさん!!1週間、ありがとうございました。色々、教えていただいて」
「大したことはしてないけどね。一応、確認。カートは相手の気配を感じることをより心がけて。それだけでモンスターとの不意打ちでの遭遇は防げるし、相手の動きを把握するのにも役立つから」
「はい、今日も森で心がけながら、過ごしました」
「ユナは回復魔法の頻度をもっと下げれば、より効率よく魔力を使える。あと、回復魔法使えるなら仲間を強化する魔法も使えるからそれもできるといいな」
「はい、冒険者ギルドの職員さんの中に使える方がいたので、手ほどきを受けたいと頼んできました」
「エバは基本は自分が使える魔法の種類を増やしていくことかな。それが、パーティーのパターンを増やすのにも役立つし。俺が魔法都市に行くから、良さそうな本を1冊ギルド経由で送るから」
「一応、あたしも自分で昔、失敗した魔法とか試して見るけどありがと。楽しみに待ってる」
「それが出来ていけば、みんなは絶対により上のパーティーになれる。だから、頑張って。それじゃあ」
「リューズさん。また、会えますよね」
「冒険者を続けていれば、どこかで会えるよ」
「はい、楽しみにしています」
「うん、俺も楽しみにしている」
カートたちと別れの挨拶を済ますと、俺も荷台に乗った。
「お願いします」
「あいよ。じゃあ、出発するぞ」
馬車が出発し、ライクルの街の門を出る。
目指す場所は魔法都市へ、マーリック。
絶対に仲間を見つけてやる。
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