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カルテに書けない よもやま話  作者: いのうげんてん
8章 なんちゃって診療録 (工事中!)
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<4-0> 切れた医者

 何を隠そう、切れた医者とは、恥ずかしながらこの私めでございます。“切れた”といっても、手術の話しではありません。“怒った”ということです。(←(^ω^)いわなくても分かるよ)


 めったに怒ることのない私でも、患者に怒ったことが過去に2回あるのです。(←(^ω^) たったの2…2回!)


 外来診療をしていたときのことです。


 外来棟には診察室が7室ありました。


 各室を仕切るパーティションの天井寄りは隙間が開いているので、隣室の大声は筒抜けに聞こえます。


 外来棟中央にある採血ブースの方から、患者の怒鳴り声が聞こえてきました。


 大声が外来棟に響きわたり、当然のこと、診療に支障をきたします。


 待てど暮らせどなかなかおさまりません。


 診療を中断して、採血ブースに行きました。


 40歳くらいの男性が、女性看護師に向かって大声で文句をいっているのです。


 看護師は、


「すいません。すいません。許してください」


 平身低頭して、何度も謝っています。


 見たところ男性は普通の人で、特段、「 怖い」ような人ではありません。(←(^ω^)ああ、良かった)


 何が問題なのか聞いてみました。


 手違いで検査リストに名前が入っておらず、時間ぴったしに来たのに、30分も待たせてしまったというのです。


 完全にこちらの手落ちでした。


 何度も謝ったのですが、男性の怒りはおさまらず、検査を始められずに看護師も困りはてていたのです。


「申し訳ないことをしました。 すぐ検査を始めますからどうか許してください」


 話を聞いて、私も頭を下げて謝りました。


 謝っても、なかなか怒りはおさまりません。


 なおも看護師に向かって、同じ文句をいい出したのです。


 外来棟の中待合室にいるたくさんの患者さんたちは、迷惑顔でじーっとこちらを見つめています。


「看護師もこんなに謝っているのですから、許してあげてください。早く検査をした方が良くはないでしょうか」


 再度説得したのですがやはりダメでした。


 外来業務は止まったままです。


 私はどうしたものかと、一瞬考えました。


 少しの間をおいて突然、大声で叫びました。(←(^ω^)叫びながら自分も驚いていたよ)


「もうよしましょう!あなたも男らしく、許してあげたらどうですか!!」(←(^ω^)女でもだよね)


 男性患者よりも大声です。


 中待合室は水を打ったようにしーんとなりました。


(ああ、どうなっちゃうの~)


 一瞬頭の中で時間が止まりました。


 まもなく、


「そうですね」


 迫力が通じたのか、彼は素直におれてくれたのです。


 私はすぐさま患者さんの肩に手をやり、


「大声を出してすいませんでした。これから注意しますから許してくださいね」


 彼も頭をかきながら、


「私も大人げなっかったです」


 笑顔の握手で仲直りをし、すぐさま検査を始めたのです。


 もしその時、患者さんがさらに大声で怒鳴りまくったなら、外来棟は大騒動になっていたことでしょう。


 そうならなくて、私はホッと胸を撫でおろしたのです。(←(^ω^) これを神の助けというのかなあ)


〈つづく〉


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│いのうげんてん作品      

│               

│①著作『神との対話』との対話

│ 《 あなたの人生を振り返る 》《 自分の真実を取り戻す 》

│②ノンフィクション-いのちの砦  

│ 《 ホスピスを造ろう 》

│③人生の意味論

│ 《 人生の意味について考えます 》

└───────────────




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