<3-26> 病院寸話《55. 常にハイテンションでいることは至難の業》
<3-26> 病院寸話(月例朝礼・会議などでの寸話)
《その55 常にハイテンションでいることは至難の業》
私は若い頃に、カンボジア難民救済にタイに行ったことがあります。
難民救済のため訪タイした初の日本人ボランティアでした。
3か月間難民診療をして帰国した後、時の人として、いろいろマスコミに取り上げられました。
するとそれを見たり聞いたりした人から、手紙つまりファンレターのようなものが来たのです。
若い女性(Aさん)おそらく20代だと思います。
本人に会っていないのではっきりは分かりませんが、手紙の内容からしてそう思われました。
内容はざっくりいうと、「今、人生の道に迷い苦しんでいる」という内容でした。
私はすぐに返事を書きました。
キリスト教的な人生論を手紙にしたためたのです。
そして最後に、
「一度テニスでもいっしょにやりましょう」
と親しみをこめて一言付け加えました。
テニスが私の趣味だったからです。
それから1週間くらいした時です。
病院での長時間の手術のあと、病院寮に帰って仮眠をとっていました。
寝入ったところに電話が入ったのです。
Aさんからでした。
私は突然の電話で、ろれつが回らず、頭もぼんやりしていて、テンションは上がりませんでした。
Aさんはそれを察して、早々、電話を切りました。
楽しい話をしようと思っていたのに裏切られたようで、気落ちしたのでしょう。
私はすぐにその時の事情を手紙に書いて謝りました。
返事は来ませんでした。
それから半年ほど経った時、Aさんから手紙が来ました。
「今はキリスト教会に通っています。自分の人生の道を見つけたように思います」
そう書いてありました。
私はほっとし、喜んだのです。
この経験から感じました。
「常にハイテンションでいることは難しい」
予定された事柄なら、それに合わせて自分の気分を整えることができます。
しかし突然このようなことがあったときにも、ハイテンションでいることは大変難しいことです。
ミュージシャンなどが数千人の観客を前にコンサートを開きます。
数千人にエネルギーを与えなければならないので、相当なエネルギーを必要とします。
彼らが興奮剤を使いたい気持ちになるのも分かる気がします。
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〈つづく〉
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│いのうげんてん作品
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│①著作『神との対話』との対話
│《 あなたの人生を振り返る 》《 自分の真実を取り戻す 》
│
│②ノンフィクション-いのちの砦
│《 ホスピスを造ろう 》
│
│③人生の意味論
│《 人生の意味について考えます 》
│
│④Summary of Conversations with God
│『神との対話』との対話 英訳版
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