<3-25-1> 病院寸話《52. その一言(ひとこと)が…… ①説明に手を抜くな》
<3-25-1> 病院寸話(月例朝礼・会議などでの寸話)
《その52 その一言が…… ①説明に手を抜くな》
説明に手を抜いて、迂闊に話した一言が、物事の流れを変えてしまうことがあります。
流れが良い方向へならいいのですが、悪い場合は大変です。
私は生来、話をはしょる(略す)癖があります。つまり、相手が理解しているかどうかを考えないで話を手短にしてしまうのです。後になってもっと丁寧に話せば良かったなと思ったことが何度もあります。
私が経験した1例を上げてみます。私の人生を変えた出来事でした。
医療法人の理事会でのことです。
医療法には、医療法人設立の際の事細かな要件が決められています。
ある時、病院を有志で立ち上げることになり、開設準備に10人余りからなる理事会(準備委員会)を開きました。 (←(^ω^)医療法人は、病院を開設してから初めて認可されるので、準備委員会と呼ぶのが適切です。法人になるまでは、個人病院なのです。)
医療法人の病院では、法律によって、理事会によって院長が選任されるとあります。
そして理事会を構成する理事は、病院の最初の出資者(会社でいえば株主)が集まる社員会で決まるのです。
世間では、これは法律的にしごく常識的なことです。
ところがです。
院長はその辺の法律に極めて疎い医師でした。(←(^ω^)医者はほとんどがそうですが……)
その準備委員会の中で、理事長、院長の選任の件が話し合われました。
「社員会によって理事が決まり、その中から理事長が選任されます」
私が型通りの説明をした時に、 院長は一言、
「それだと、理事会の選挙で理事長が代わることもあるということだが、 あなたはそれでいいのか」
つまり、ずっと理事長でい続けられなくてもいいのか、という意味合いのことを言ったのです。
理事長になる予定だった私は、
「これは法律的な決まりで、院長も理事会によって選任されるわけですから、院長交代だって同じようにあることですよ」
医療法人の法律を、当たり前に説明しただけでした。
ところが一瞬、会議室はシーンとなりました。
聞いていた理事の面々は、院長と理事長の間に、確執(不和)があると勘違いしたのです。
法律的に言えばそれは当然のことですから、みんな理解できると思って、私は説明を端折ってしまいました。
もっと丁寧に、順序立てて説明すれば良かったなと、後で思いました。
一度勘違いされると、いつまでも尾を引くものです。
それからその流れがずっと続きました。
院長派、理事長派と派閥めいたものができてしまったのです。
そしてゆくゆく病院が開設された後、派閥の権力闘争が起き、裁判沙汰になって病院は崩壊してしまったのです。
と話しても、法律ごとはよくわからないですよね。
要するに、説明は相手が理解できるように丁寧にしましょう、ということです。
私の教訓です。
(←(^ω^)逆に回りくどく要領を得ない話をクドクド話す人もいますね。私と真逆ですね。)
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〈つづく〉
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│《 あなたの人生を振り返る 》《 自分の真実を取り戻す 》
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│②ノンフィクション-いのちの砦
│《 ホスピスを造ろう 》
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│③人生の意味論
│《 人生の意味について考えます 》
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│④Summary of Conversations with God
│『神との対話』との対話 英訳版
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