表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カルテに書けない よもやま話  作者: いのうげんてん
   病院寸話(月例朝礼・会議などでの寸話)
195/337

<3-23-5> 病院寸話《49. 目からウロコが落ちる ⑤気管支ファイバーをガイドに気管内挿管》

<3-23-5> 病院寸話(月例朝礼・会議などでの寸話)


《その49 目からウロコが落ちる ⑤気管支ファイバーをガイドに気管内挿管》


 <4-11> 私の診療心得 ⑪ 「何事も準備が大事」でも書きましたが、昔は、外科医同士で順番に手術の麻酔をかけ合っていました。


 ある時、脳外科の手術がありました。


 麻酔をかける際に、いつもはその脳外科医が自分で挿管(気管内にチューブを挿入すること)していました。


 挿絵(By みてみん) 


 ところが、今回はなかなか難しいようです。喉頭部が展開(全体が見えること)できなくて、私に挿管の依頼がありました。


 脳外科医は、人工呼吸器を使う関係で、しばしば挿管の機会があり、気管切開とか気管内挿管の技術は非常にけているものです。


 脳外科医が挿管できないということは、喉頭部に相当の解剖学的な変異があると考えられました。


 普通に挿管しても、失敗を繰り返すだけだなと思いました。


 その数年前に、喉頭部を展開できなくて、挿管できない経験が私はありました。


 その時、麻酔科専門医が助けてくれました。彼は喉頭鏡を使わずに、挿入する気管チューブの末端に手のひらや耳をかざして、空気の出入りを確かめながら、盲目的に気管入口を探して、見事、挿管したのです。


 さすがは麻酔科専門医だなあと、感心していました。


 その専門医は、時には気管支ファイバーを使って挿管することもあると、教えてくれました。


 その言葉が記憶にあったのです。


 そこで私は、気管支ファイバーを呼吸器科から借りてきました。


 気管支ファイバーは直径が3mmから4mmの太さです。


 なので、その外側に気管チューブをかぶせて、気管支ファイバーをガイドとして挿入すれば、よほどのことがない限り気管内に挿入することができます。(図)

 挿絵(By みてみん)

(図)気管チューブをかぶせた気管支ファイバー


 鼻の穴から、気管チューブをかぶせた気管支ファイバーを挿入しました。


 気管支ファイバーは先端が自由に動くので、内視鏡的に観察しながら挿入すれば気管開口部を見つけるのは容易です。


 咽頭を通って喉頭部に達すると、気管の入口に当たる声帯が見えました。


 そして声帯を通って、気管の中央あたりまで気管支ファイバーを進めました。


 そうしておいて、キシロカインゼリー(粘滑・表面麻酔剤)をたっぷりと気管チューブに塗布し、気管支ファイバーをガイドとして、鼻の穴から気管チューブを挿入しました。


 気管チューブはだいたい直径が標準で1cm余りあります。


 鼻の穴や鼻腔は、一見するとは小さな穴に見えますが、それぐらいの太さなら、余裕を持ってチューブは通過します。


 そして見事に気管内に、チューブを挿入することができたのです。


 脳外科医に大いに感謝されました。


 この経験も私にとっては、「目からうろこ」のたぐいでした。


───────────────


〈つづく〉



┌───────────────

│いのうげんてん作品      

│               

│①著作『神との対話』との対話

│《 あなたの人生を振り返る 》《 自分の真実を取り戻す 》

│②ノンフィクション-いのちの砦  

│《 ホスピスを造ろう 》

│③人生の意味論

│《 人生の意味について考えます 》

│④Summary of Conversations with God

│『神との対話』との対話 英訳版

└───────────────



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ