<3-22> 病院寸話 《44.蟻の一穴(いっけつ) ― 少し許すと全体が崩壊》
<3-22> 病院寸話(月例朝礼・会議での寸話)
《その44 蟻の一穴― 少し許すと全体が崩壊》
以前勤めている時に、こんなことがありました。
どこの病院でもそうですが、入院患者が退院する時には、入院サマリー(入院中の経過や治療内容などの要約)を書く決まりがありました。
その病院の入院サマリーは、病状説明から治療内容までを、A4用紙にびっしりと書くという詳細なものでした。
それを患者が退院した時に書くのですが、忙しい時には遅くまで残業して書かなければなりませんでした。
それがあまりにも大変なので、医局で話し合いました。
夜残ってまで書く必要はないのではないかという意見が出て、医局員みんな賛成しました。
するとどうでしょう。
それからすぐ入院サマリーが書かれなくなりました。
その変貌ぶりは驚くべきものでした。
入院サマリーが書かれていないカルテは、外来の棚に積まれることになります。
なぜなら患者が外来に来た時に、それを参照しなければならないからです。
外来の棚には、入院カルテと未記載のサマリー用紙が、あっという間に山積みになりました。
「蟻の一穴※⇒」と言う言葉は本当のことですね。
1つ許すとこうなってしまうということを、身をもって体験しました。
⇒※どんなに堅固に築いた堤でも、蟻が掘って開けた小さな穴が原因となって崩落することがある、ということを表す語。
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〈つづく〉
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│いのうげんてん作品
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│①著作『神との対話』との対話
│《 あなたの人生を振り返る 》《 自分の真実を取り戻す 》
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│②ノンフィクション-いのちの砦
│《 ホスピスを造ろう 》
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│③人生の意味論
│《 人生の意味について考えます 》
│
│④Summary of Conversations with God
│『神との対話』との対話 英訳版
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