<3-13> 病院寸話 《32. 目標を持つ 33. 人間関係の立ち位置》
<3-13> 病院寸話(月例朝礼での寸話)
《その32 目標を持つ》
私たちはいつも「目標」を持つべきです。
それを明示してくれる例を紹介します。
1例目は日野原重明先生の言葉です。
日野原先生は、みなさんご存知のように、102歳まで現役医師で、日本の医療界の重鎮として、あるいは聖路加国際病院の理事長として、多大な貢献をなされた先生です。
日野原先生が常々言っておられました。
「若さの秘訣は目標を持つことだよ」
日野原先生のスケジュール帳には、何年も先の予定が書いてあったそうです。
そんな多忙な中でも、さらに毎年ひとつ、新老人の会のような、新しい会を作っていくことが目標であると言っておられました。
実際、そのような会は100を越えたのです。
2例目は林成之教授です。
林成之教授は日本大学の教授で、脳神経外科の権威です。
脳低温療法を世界で初めて臨床に応用して、好成績を収めた先生です。
ワールドカップの日本代表チームの元監督であったオシム監督(先頃、 80歳で亡くなられました)が、2007年に脳梗塞で倒れた時に、この脳低温療法で、絶望視されていた監督を元通りに回復させたということで、有名になりました。
林教授は、 元オリンピック水泳選手であった北島康介選手をコーチしたことでも有名です。
北島康介選手は、金メダルを取った後に、一時スランプに陥りました。
林先生は、その北島康介選手を、どのようにコーチしたのかというと、メンタル的にコーチしたのです。
水泳競技で、スタートしてからプールの壁にタッチするのをゴールとするのではなく、タッチしてから振り返って自分の記録を掲示板で見るその時を、ゴールとするよう指導したのです。
林理論によると、選手というのは、ゴールする寸前に、力を抜いてしまうというのです。つまり、直前にわずかでもスピードが落ちるわけです。
勝負は100分の1秒の世界です。
ゴールを、掲示板を見るところに置くと、タッチする時はその途上で、全力でそこを通過することができるという理屈です。
それによって、北島康介選手は記録を伸ばすことができて、再度金メダルを取ることができたのです。
この二つの例から、人生において「目標」を設定するということがどれほど大切か、ということが理解されると思います。
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《その33 人間関係の立ち位置》
社会の構図は、人間関係から成り立っています。
人間関係の中で人の立たされる立場は、3つあると思います。
1つ目は個人の立場、2つ目は家庭人の立場、3つ目は社会人の立場です。
個人の立場は、言葉どおり、いち個人として個人的な責務をにない、それぞれの個性に応じた人生を歩むことによって、自らの個性を培っていく立場です。
家庭人の立場は、家庭の一員として、親の立場であったり、子供の立場であったり、夫婦の立場であったりします。親、子供、夫婦の立場に立って活動し、それぞれの家庭人としての人間関係を経験していくのです。
社会人の立場は、個人の集合である人間社会で、それぞれの社会的な責務を果たし、社会の機能を分担する立場です。この場は職場であったり、学校であったり、地域社会であったりします。
この三つの立場を、人間は同時に、日常生活において実践し経験しています。
そしてこの個人、家庭人、社会人の三者の立ち場で責務をまっとうしている人間は、人間性(人格)を育んでいるといえると思います。
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〈つづく〉
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│いのうげんてん作品
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│①著作『神との対話』との対話
│《 あなたの人生を振り返る 》《 自分の真実を取り戻す 》
│
│②ノンフィクション-いのちの砦
│《 ホスピスを造ろう 》
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│③人生の意味論
│《 人生の意味について考えます 》
│
│④Summary of Conversations with God
│『神との対話』との対話 英訳版
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