<3-5> 病院寸話 《13. 先駆者の道 14. 自主性》
<3-5> 病院寸話(月例朝礼での寸話)
《その13 先駆者の道》
先駆者の道はいばらの道です。まだ誰も通ったことのない道を、試行錯誤しながら進まなければなりません。
目的はハッキリしているのですが、その目的を達成するための行き先やその道のりは、分からないまま出発するのです。
途中に何が待ち受けているかも分かりません。穴に落ちてしまうかもしれません。崖から転落してしまうかもしれません。猛獣に出会うかもしれません。危険を犯しながらそこを一歩一歩進むのです。
先駆者が通った道を後から続くものは、気が楽です。そこを通れば目的地に行き着くことが分かっているからです。
山登りでも同じです。ですから登山ルートは、初めてそれを開拓した人の名前を、それをたたえて、命名しているのです。
先駆者は、発想を飛躍させなければなりません。誰も歩いたことのない道なき道を行くのですから、前と同じ発想をしていては道は開けないのです。したがって飛躍する勇気が先駆者には必要とされるのです。
これに対して後継者は、持久力を持っていて、持続できる人でなければなりません。飽きることなくじっくりと構えられる人が、後継者にならなければなりません。
このように人には、道を開拓する人、それを継承する人と、それぞれの個性と能力に応じて役割分担があるのです。
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《その14 自主性》
あるバス会社が、自社の交通事故が多く起こるため、安全運転対策のために、職員を二つのグループに分けて、次のことを試しました。
Aのグループは、運転手を集めて講習会を開きました。講師が安全対策について講義をし、それを運転手は学習するグループです。いわゆる「授業」タイプです。
Bのグループは、そのグループの仲間同士で話し合いを持たせました。自分たちでどうしたら事故を防げるかを話し合わせたのです。
そして実際にその対策後の事故の発生率を調べたところ、Bグループの方が成績が良かったのです。
これはBグループは、自分たちでその対策を考え、事故防止のためのルール作りを自分たちでしたからです。
人間というものは、自分で決めたことは実行しなければならないという、自己規制が働きます。
ところが、他人が決めたことは、やるにはやるにしても、心の底から自分のこととしてはしないのです。たとえそれが上司の決めたことでも同じです。
これがBグループの方が成績がよかった理由です。
今ではこれは常識となりつつあり、研修方法などもこの方法が取られるようになってきています。昔風の一方的な授業方式の研修は、あまり成果が上がらないことが分かっています。
これは自主性の尊重ということです。人から命令されてやるのではなく、自らの創意工夫で事をなすのです。命令されてやる場合は、命令以上のことは期待できません。
今や組織にとって、職員の自主性をいかに高めるかが、組織発展のための大きな課題なのです。
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〈つづく〉
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│いのうげんてん作品
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│①著作『神との対話』との対話
│《 あなたの人生を振り返る 》《 自分の真実を取り戻す 》
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│②ノンフィクション-いのちの砦
│《 ホスピスを造ろう 》
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│③人生の意味論
│《 人生の意味について考えます 》
│
│④Summary of Conversations with God
│『神との対話』との対話 英訳版
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