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カルテに書けない よもやま話  作者: いのうげんてん
5章 病気もいろいろ患者もいろいろー名診誤診迷診
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<37> 名診誤診迷診-むくんだ頭 今度は治せた

<37> 名診誤診迷診-むくんだ頭 今度は治せた


 妙なタイトルですが、ここでいう頭とは、首の上にあるオツムのことではなく、『5章<4> むくんだ頭』で書いた、男性のシンボルたるペニスの亀頭部のことです。つまり、頭のむくみとは嵌頓包茎かんとんほうけいのことをいうんです。


 嵌頓した包茎は、整復するのはなかなか難しいものです。長いこと医者やってても、悪戦苦闘むなしく、うまくいかなかったことがたびたびあるのです。


 ところがですねえ、えっへん。この度、長い医者人生の中で初めて嵌頓包茎を整復できたので、嬉しさのあまりここに報告する次第でございます。(←(^ω^)大袈裟だね)


 話は外れますが、ペニスの先端を亀頭部(きとうぶ、英: Glans penis)と呼びます。まさに、亀の頭のような格好ですよね。先人はよくもまあそう命名したものです(←(^ω^)座布団2枚!)


 嵌頓包茎は図で示すとこんなものです。見たことありますかね。医療者でなければ、そうそうは、ないでしょうね。


図1

挿絵(By みてみん) 


 『5章<4> むくんだ頭』で書いた精神科病棟嵌頓包茎事件以来、トラウマとなっていたためか、これにお目にかかった時は、私はのっけから戦意喪失していて、治せるものも治せませんでした。


 包茎専門医の異名をとる私は、数々の包茎手術こそこなしてきましたが、嵌頓包茎を用手的つまりこの両手で整復できたことは、一度もありませんでした。何百例の包茎手術をした包茎専門医も、これではかたなしです。


 夕方、遅番をやっていると病棟から呼ばれました。


「先生、患者さんのペニスが腫れています」


 全身にむくみがくると、いっしょに陰嚢やペニスもむくむことがあります。


「どうせそんなもんだろう」


 たかをくくって病棟へ行くと、


 忘れもしないあの嵌頓包茎です。男性患者でした。 (←(^ω^)当たり前)


「ひゃあ~、自信ない~」


 のっけから弱気です。


 両手に手袋をはめて、キシロカインゼリーというぬるぬるしたゼリーを亀頭部に塗ります。まんべんなく塗り終えたら、図1に示した、浮き輪のようにむくんだ包皮を越えるように、指で先端部分を押し入れるのです。


 簡単そうに見えて、これがなかなか難しいのです。


 滑りやすくした分だけ、亀の頭も指先から逃げ回ります。


 やっと入ったように見えても、またにょきっと頭を出します。(←(^ω^)本当に亀みたいだよ)


 実はむくんだ包皮部分は、ペニス本体に食い込んでいて、亀頭部は首吊り状態になっているのです。なので入ったように見えても、狭搾部分を越えてはいないのです。


 ナース2人が両脇から患者を抑えます。敏感な部分なので、いじると痛いので暴れまわります。


 3人がかりの大奮闘……。


 20分ほど挑みましたが、やはり整復できませんでした。


 悔し紛れに、


「まあ、自然に引いていくでしょう。 ガーゼで覆っておいてください」


 何とも後味悪く、すごすごと医局に戻りました。


「悔しいなあ……」


 亀の頭がちらついて、仕事が手につきません。


 すると医局に外科の本が置いてありました。 図説 外来の外科 医学書院刊。


 さっそく調べてみると、図解入りで、ちゃんと書いてあったのです。


図2

挿絵(By みてみん) 


「なになに、ペニス本体をしっかり握りしめて、だって……」


 なるほど、これがうまくいかなかった原因なのです。


 亀頭部を越えさせようと、私は、やみくもに腫れた包皮を手前に引っ張っていました。


 ところが本には、ペニス本体をしっかり握って、亀頭部を押し込むと書いてあります。「押してダメなら引いてみな」ってところです。(←(^ω^)向きは反対)


「もう一度やってみよう」


「ダ-!」(←(^ω^)アントニオ猪木さんの叫び)


 一念発起して病棟に上がりました。


「本に書いたったから、もう一度やってみるよ」


 2人のナースがまた協力してくれました。


 亀頭部にゼリーを塗布して、ペニスの本体を左手でしっかりと把持はじすると、右の指で亀頭部先端を押し入れました。((^ω^)⇒図2を参照してネ)


 すると少し抵抗はあったものの、いとも簡単にスルッと滑るように越えて行ったのです。


 この感触は、というと、ラムネって炭酸飲料水がありますね。飲む時、ガラス玉を下に押し込みますが、ストンとガラス玉が落ち込む時のあの感触ですかね。(←(^ω^) もっと分かりやすいの、ないかね)


「おお、整復できたぞ~」


「わー、すごい」


 拍手喝采でした。


 なんせ長い医者人生で、初の成功例なんで喜びもひとしおです。


「おじいちゃん、ここ、あまりいじらないでね」


 そういい残して、今度は意気揚々と病棟を後にしたのでした。


 この程度のことでもうまくいくと、気持ちの良いものです。エベレストに登頂したみたいです。(←(^ω^)登山なんかしたことないくせして、よくいうよ)


 万が一、何かのひょうしに(?)こうなってしまった場合、軽いのは放っておけば自然に腫れは消退します。包茎自体も直ってしまうでしょう。


 腫れや痛みがひどい場合は病院に電話を入れて、「嵌頓包茎を直せますか」と聞いてから、受診した方が無難でしょう。(←(^ω^)ちょっと恥ずかしいけどね)


 こんな不格好なもの見せてから、


「うちじゃ治せん」


といわれるのも嫌だもんね。


 受診する科は泌尿器科がいいでしょう。(←(^ω^)包茎専門医がいるなら外科でもいいかな)


〈つづく〉


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│いのうげんてん作品      

│               

│①著作『神との対話』との対話

│ 《 あなたの人生を振り返る 》《 自分の真実を取り戻す 》

│②ノンフィクション-いのちの砦  

│ 《 ホスピスを造ろう 》

│③人生の意味論

│ 《 人生の意味について考えます 》

│④Summary of Conversations with God

│ 『神との対話』との対話 英訳版

└───────────────


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