<12> 名診誤診迷診-私は迷医
偉そうに「名診誤診迷診」などと銘打っても、大して書くことはありません。私めは、名医どころかほんとの“迷医”ですから、名診なんかあるわけがないのです。
さらに誤診なんか、覚えていたくもないから、早々に忘れちゃうのです。
大体、外科は治療が中心ですから、あまり誤診はありません。診断はほとんど内科がつけるのです。(←(^ω^)いいわけがましいね)
患者は外傷のようなものでない限り、最初から外科にかかることは、まずありません。
例えば熱が出たからといって、患者は外科には来ません。お腹が痛いからといって、外科にはかかりません。まず内科に相談するのです。
へたに外科にかかろうものなら、切られてしまいますからね。
そんな外科医がいましたよ。
ある時、肝臓の悪い患者さんが、外科にかかりました。
CTを撮ってフイルムができ上がり、それを見た外科医が患者の顔を見て、ニコッと笑ったのです。
「ああ大丈夫だったんだ」
その笑顔を見た患者は、胸をなでおろしたのでした。
ところがその外科医は、開口一番、
「これは肝臓がんだ。すぐ手術しましょう」
私の知り合いだったその患者は、驚いてとんできて、がっくりと肩を落としていました。
ことほど左様に、外科医は切りたくてし方がないのです。
過剰なほどまでに自信のある医者、極めて腕の立つ医者は、その嫌いが、すこぶるあるのです。
外科医はこうのほうが、頼りになっていいですよ。
「治るもはっけ、治らぬもはっけ」などと、自信なさ気にいう外科医なら、切られるのはごめんだよね。
外科医は誤診が少ないかわりに、治療がうまくいかないことは多々あります。(←(^ω^)あんまり多くちゃ困るけどね)
手術は結果がはっきりと目に見えますから、ごまかしがききません。
特に、整形外科のような科では、手術の出来不出来は一目瞭然です。
普通に歩いていた人が、手術した後にびっこになれば、手術がうまくいったとは到底いえません。
となると、自称外科医だった私めがまともに書けるのは、迷診ばかりとなってしまいます。
そうです。私の診断は、迷診がほとんどなのです。診断が当たろうものなら、まるで宝くじが当たったかのように喜ぶのです。(←(^ω^)買ったことないくせしてよくいうね)
4章『病気もいろいろ患者もいろいろ』の中で書きつらねた患者さんを、「名診誤診迷診」のいずれにあたるか、ちょっとレビューしてみますよ。
①ねじれた頭 これは、「名診誤診迷診」のどれにも当たらないよねえ。ペニスの頭がねじれても、幸い夫婦生活に支障は無かったんだから、良しとしてちょうだい。
②消えた綿球 これも最後には見つかったんだから良いでしょう。どれにも当たらないね。
③穴がない!? これは見事に穴を見つけたから、名診にしてくれますか(←(^ω^)名診というほどのことじゃないけどね)
④むくんだ頭 精神科患者のペニスにびびっていたから、これは外科医失格だね。
⑤だまされた 完全にだまされたんだから、論外だよ。
⑥変なおじさん ああ、これはテンカンと見破ったから、名診かな。はたまた若い医者がドジなのか。
⑦もう帰る ナースの機転で低血糖と分かったから、ナースに二重丸上げましょう。
⑧もう帰る-アニサキス症 内視鏡で見事に治したから、名診にして、“ちょうだいませませ”。(←(^ω^)さだ まさし 雨やどり)
⑨もう帰る-尿管結石 これぞ自分でなって、自分で診断して治療したんだから、名診といえるよね。(←(^ω^)これ自画自賛)
⑩前からそんな顔 これは明らかに誤診だよね。オニガワラなんて、無礼千万だわ。
⑪バズーカ砲 おお、これは努力賞もので、名診にしておくれ。
こうして見てみると、いいやつはほとんど見当たらないね。
「名診誤診迷診」などと偉そうに書くものは、あまりなさそうです。期待できそうにないよね。(←(^ω^)なに!はじめから期待なんかしてないって?)
名誉挽回に、名診らしいものを何とか思い出して、手始めに書いてみますよ。(←(^ω^)名誉なんてないくせしてね)
┌───────────────
│いのうげんてん作品
│
│①著作『神との対話』との対話
│ 《 あなたの人生を振り返る 》
│
│②ノンフィクション-いのちの砦
│ 《 ホスピスを造ろう 》
└───────────────




