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カルテに書けない よもやま話  作者: いのうげんてん
5章 病気もいろいろ患者もいろいろー名診誤診迷診
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<12> 名診誤診迷診-私は迷医

 偉そうに「名診誤診迷診」などと銘打っても、大して書くことはありません。私めは、名医どころかほんとの“迷医”ですから、名診なんかあるわけがないのです。


 さらに誤診なんか、覚えていたくもないから、早々に忘れちゃうのです。


 大体、外科は治療が中心ですから、あまり誤診はありません。診断はほとんど内科がつけるのです。(←(^ω^)いいわけがましいね)


 患者は外傷のようなものでない限り、最初から外科にかかることは、まずありません。


 例えば熱が出たからといって、患者は外科には来ません。お腹が痛いからといって、外科にはかかりません。まず内科に相談するのです。


 へたに外科にかかろうものなら、切られてしまいますからね。


 そんな外科医がいましたよ。


 ある時、肝臓の悪い患者さんが、外科にかかりました。


 CTを撮ってフイルムができ上がり、それを見た外科医が患者の顔を見て、ニコッと笑ったのです。


「ああ大丈夫だったんだ」


 その笑顔を見た患者は、胸をなでおろしたのでした。


 ところがその外科医は、開口一番、


「これは肝臓がんだ。すぐ手術しましょう」


 私の知り合いだったその患者は、驚いてとんできて、がっくりと肩を落としていました。


 ことほど左様に、外科医は切りたくてし方がないのです。


 過剰なほどまでに自信のある医者、極めて腕の立つ医者は、その嫌いが、すこぶるあるのです。


 外科医はこうのほうが、頼りになっていいですよ。


 「治るもはっけ、治らぬもはっけ」などと、自信なさ気にいう外科医なら、切られるのはごめんだよね。


 外科医は誤診が少ないかわりに、治療がうまくいかないことは多々あります。(←(^ω^)あんまり多くちゃ困るけどね)


 手術は結果がはっきりと目に見えますから、ごまかしがききません。


 特に、整形外科のような科では、手術の出来不出来は一目瞭然です。


 普通に歩いていた人が、手術した後にびっこになれば、手術がうまくいったとは到底いえません。


 となると、自称外科医だった私めがまともに書けるのは、迷診ばかりとなってしまいます。


 そうです。私の診断は、迷診がほとんどなのです。診断が当たろうものなら、まるで宝くじが当たったかのように喜ぶのです。(←(^ω^)買ったことないくせしてよくいうね)


 4章『病気もいろいろ患者もいろいろ』の中で書きつらねた患者さんを、「名診誤診迷診」のいずれにあたるか、ちょっとレビューしてみますよ。


①ねじれた頭 これは、「名診誤診迷診」のどれにも当たらないよねえ。ペニスの頭がねじれても、幸い夫婦生活に支障は無かったんだから、良しとしてちょうだい。


②消えた綿球 これも最後には見つかったんだから良いでしょう。どれにも当たらないね。


③穴がない!? これは見事に穴を見つけたから、名診にしてくれますか(←(^ω^)名診というほどのことじゃないけどね)


④むくんだ頭 精神科患者のペニスにびびっていたから、これは外科医失格だね。


⑤だまされた 完全にだまされたんだから、論外だよ。


⑥変なおじさん ああ、これはテンカンと見破ったから、名診かな。はたまた若い医者がドジなのか。


⑦もう帰る ナースの機転で低血糖と分かったから、ナースに二重丸上げましょう。


⑧もう帰る-アニサキス症 内視鏡で見事に治したから、名診にして、“ちょうだいませませ”。(←(^ω^)さだ まさし 雨やどり)


⑨もう帰る-尿管結石 これぞ自分でなって、自分で診断して治療したんだから、名診といえるよね。(←(^ω^)これ自画自賛)


⑩前からそんな顔 これは明らかに誤診だよね。オニガワラなんて、無礼千万だわ。


⑪バズーカ砲 おお、これは努力賞もので、名診にしておくれ。


 こうして見てみると、いいやつはほとんど見当たらないね。


 「名診誤診迷診」などと偉そうに書くものは、あまりなさそうです。期待できそうにないよね。(←(^ω^)なに!はじめから期待なんかしてないって?)


 名誉挽回に、名診らしいものを何とか思い出して、手始めに書いてみますよ。(←(^ω^)名誉なんてないくせしてね)



┌───────────────

│いのうげんてん作品      

│               

│①著作『神との対話』との対話

│ 《 あなたの人生を振り返る 》

│②ノンフィクション-いのちの砦  

│ 《 ホスピスを造ろう 》

└───────────────


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