<3> 穴がない!?
またもや下の話で恐縮です。なにせこの手の経験は衝撃が強烈で、記憶にしっかりと焼き付いてしまい、なかなか忘れられないのです。
余談ですが(←(^ω^)余談が早いね)、世界的に有名な整形外科教授が、国際学会の懇親会席上で、笑いながら私に話してくれました。
「セックスの話は誰もが関心を持っているから、異文化人が集まる国際会議の懇親会では、場を盛り上げるにはもってこいだよ」
ある時席上で、教授はこんな話をしたそうです。
女性患者が頚椎骨折を起こして、大学病院に運び込まれました。
「どうしてこんなことになったのか」と聞いてみると、その女性は恥ずかしそうに言ったのです。
シックスナイン(←(^ω^)これ以上書くと本サイトの規約違反になりますので、知りたい方は、グーグル検索でもしてくださいね)を男性と立位(!!!)でやっていた時、絶頂に達した男が、手を離してしまったのです。女性はもろに頭から墜落して、頚椎を骨折してしまったというのです。
この話に、テーブルを囲んだ国際人たちは大笑いしたそうです。
なるほどなあと感心して、私は教授の話を聞いていました。(←(^ω^)人間、地位名誉にかかわらず、誰しも同じなんですね。安心しました)
さて話を戻します。
私もだいぶ医者に慣れたころのことです。
「先生、尿が出ません」
病棟から電話がありました。70代の女性患者が、朝から高熱が出て、抗生剤の点滴をしても尿が出ないのです。
敗血症にでもなって、腎不全を起こされてはたまりませんから、尿道カテーテル(直径5mmほどの管)の留置を、朝指示しておいたのです。
カテーテルを留置すれば、尿量チェックが容易にしかも確実にできるので、急変時にはよく行われる処置の1つです。
(尿が出ない?カテーテルを入れても?)
ブツブツ言いながら病室に向かいました。病室ではナースが2人がかりで、カテーテルを入れたり抜いたりして尿の出ぐあいを見ていました。
「入れたときに尿は出たの?」
「それが全然出ないんです」
よほどのことがない限り、尿が全く出ないということはありません。挿入したときに、カテーテルを満たすくらいの尿は出てくるのが普通です。
「全然!?」
変だなあと思いつつ、カテーテルの入っている穴をまじまじと見ましたが、確かにカテーテルは尿道に入っています。
男性は、解剖学的に尿道の長さは15cmくらい(女性は3~4㎝)あります。膀胱の手前に前立腺がありますから、前立腺肥大があるとカテーテルが挿入できないことが間々あるのです。
しかしこの患者は女性です。女性でカテーテルが入らないということはまずありません。
「おかしいなあ」
ナースといっしょにカテーテルを入れたり出したりしていた時、尿道が普通より太めなことに気付きました。
(はて3つの穴は?)
疑問がふと脳裏をよぎりました。そこで女性の解剖の基本、3つの穴を探したのです。
「あれ、穴が1つない」
肛門、尿道はあれど、膣が無いのです。
「膣はどこなの?」
私にそう言われてナースも、
「ほんと…」
うかない顔で探しています。
ひょっとして、この太めに見える尿道が膣じゃないかなと、ふと思いました。
「これ膣じゃないの?」
「え~そんな」
ナースは、取り憑かれたようにそこをジーッと見いっています。
「クスコ膣鏡、持って来て」
またまたクスコ膣鏡の出番です(←(^ω^)クスコ先生、助かります)。
膣鏡を入れて中をのぞくと、穴の口から1㎝ほど奥まったところに、小さな穴が見えます。
「これが尿道じゃないの」
そこにカテーテルを挿入してみましたら、見事に尿が出たのです。
「おお、出たか」
またまた感動ものです。
「先生すごい!」
ナースたちも、驚き半分、喜び半分で拍手喝采。(←(^ω^)患者の前で君たちは何ということを)
こんなことで褒められるのも、何か気恥ずかしいのですが、悪い気はしません。日頃はナースに頭の上がらない私も、このときばかりは、「どうだい」と言わんばかりに胸を張って、ちとかっこつけちゃいました。
それにしても、なぜこんなところに尿道があるのか不思議です。生まれつきのものなのか、膣壁が年齢とともに萎縮したため、尿道がひき込まれて奥に隠れてしまったのか。私もナースも初めての穴体験(?)だったのです。
ネットで調べてみると、尿管異所開口といって、まれにあるようですね。ただ幼少期に発見されることがほとんどのようです。この方の場合、70才になるまで本人も誰も気付かなかったのでしょうかね?!
* 本サイト掲載の〈いのうげんてん〉著作「『神との対話』との対話」に、「セックス」について近々書きます。興味のおありの方はご覧ください。(←(^ω^)これ宣伝)
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