第19話 捕縛
「なんでこんな事をしたのか聞いても良いですか?」
僕はドライアドの『使徒』に捕らえられ、身動きの出来ないまま連れ去られていた。
「何故、そんな事を聞くのです?」
『使徒』は僕の方を見ることもなく歩き続けたまま何処かを見続けている。だけど僕への警戒を解くことはなく抜け出せる隙はない。
「質問を質問で返すなって『始祖』に教えられなかったの?」
僕はどうにか隙を作る為に煽ってみると、ものすごい殺気を出しながらも何か任務でも課されているのか僕に手出しをしてくることはなかった。そのまま何度か煽ってみるも聞く耳持たず反応してくることは無かった。進み続けて数十分が経った頃、何か建物が見えてきて、その建物の前には数人のエルフが立っていた。
「侵入者を連れてきた。牢に入れておいてくれ。かなりの手練れだから慎重にな。」
『使徒』は僕に巻き付いたままの根をそのままにしたままエルフの衛兵に僕を引き渡し、何処かへ言ってしまった。僕はエルフの衛兵に持っていた荷物を没収され、牢へと入れられてしまった。
侵入者を牢へと入れるように命令し私は『巫女』様の下へと向かっていた。その途中にエルフの『使徒』、イズラがおり、私に対して偉そうに話しかけてきた。
「侵入者はどうしたのだ?ドリュアスよ。」
こいつの強さはそこまでだが、頭の良さから精霊王様に重宝されていた。そのせいでプライドが高く、私に対しても上から目線で話してくる。正直にいうとウザったらしいが、私達の目標の為にはこいつの頭脳が必要なのもあって手は出せない。こいつもそれを分かっているからかいつもより上から話してくる。何度殺してやろうと思ったことか。
「しっかりと衛兵に引き渡したよ。私の根を避けることも出来なかったけどもだいぶ強いんだろうね。」
私がそう言うとイズラはもう分かってると言いたげな不満顔をしており、言っても無駄だと思ったのか、私の隣を歩き始めた。
「まさか計画もようやく折り返しといったところに来るとは思わなかったがこの計画を知ることも関与することも出来ないだろうな。」
イズラがそんな事を言いながら小さく笑っているのを真横で聞いていて少しだけ不愉快な気持ちになった。
僕は牢に入れられてからこの先どうするか考えていた。幸い牢屋の中からでも魔力感知を使うことはでき、僕の力がこの里にいるであろう『始祖返り』と共鳴しているのが分かった。だが、その他にも嫌な気が蔓延していてなおかつその気が『始祖返り』の周りに集まっているのが不穏に感じた。
「よし。脱走するか。」
僕は脱走計画を立て始めた。




