激戦
トライアを警戒し。
主犯の男が、2本の短剣を持ちながら、前へとゆっくり進み出てきた。
「(あの男の雰囲気が変わったか!?)トライア、少し下がってくれ」
「えっ。は、はいニャ」
カインのさっきまでと違う口調に何かある。と踏んだトライアは素直に少し退いた。
「(よし!)『リフレクト』!」
その魔法の威力は、炎の玉を弾いた時とは格段に強く。
主犯の男を除いて、残っていた2人はいとも簡単に壁まで吹き飛ばされ打ち付けられた。
「今のは少しマズイとは思ったが。もう、同じ手は通用しないぞ」
3人がよく見ると、男の足元に剣が刺さっている。
「(おそらく、それに捕まることで回避したようだな)くっ!」
「だ、大丈夫ですか?カイン様」
カインは片膝をつき、右手を押さえている。
「ああ。ただ、数分間は魔法は使えなさそうだ」
「なら!トドメはもらっちゃっても良いのですかニャ」
トライアは、ピョンッとカインの上を飛び越えると、そう言った。
「・・仕方ない。最低でも、2分間は頼んだ。トライア」
「はいニャ〜!『フレイムカット』」
炎をまとわした爪で切りつけようと、高速で近づくが。
「早いが。目では余裕で追えるな。『ウィンド』」
それよりも早く、男が短剣を連続で空で斬り、風の刃を飛ばす。
「ニャ!『フロストシールド』」
目の前まで風の刃が迫っているのを見て。トライアは、とっさに腕に氷の盾作り出し、構えた。
その刃は氷の盾に少し亀裂を入れたが割れることはない。
そして、トライアは何とか、男の懐までもぐりこむことに成功した。
「もう一度ニャ!『フレイムカット』」
「『スピードアップ』」
男がそう唱えると、数メートル後ろに高速で退いた。
『スピードアップ』は発動後、一回限りの使用しか出来ない。その効果は、半径10メートル以内であれば、テレポート並み(テレポートしてるように見えるが、ちゃんと動いてはいる)の速度で移動が可能。ただ、移動を止めると同時にその効果も終了する。
魔法の知識について、一定上の知識は有しているトライア。もちろん、この魔法も知っている。
「(早いニャ)でも、スピードだけなら、負けないニャ!」
猫の本能のままに、4つ足になり、屋根の上まで飛び乗った。
「(何だ、上に行って)どうした、距離を詰めるのが怖くなったのか」
男がトライアの方を睨みながら、煽るような発言をする。
「なら、屋根の上まで来ればいいのではニャ。あの動き的に無理とは言わせないニャよ」
「お望み通り・・『スピードアップ』」
そう唱えた1秒後には、トライアの5メートル前に姿を表した瞬間に・・
「『フレイムカット』!」
といきなり、トライアは襲いかかる。
「ちっ!『スピードアップ』」
男は再び魔法を発動し、隣の家の屋根に移った。
「ニャッ!」
トライアが爪を立てながら、屋根を飛び越え、追いかける。そして、男は『スピードアップ』で退くを3回ほど繰り返したが・・
その繰り返しパターンを立ち、男が『スピードアップ』を退くのではなく、距離を詰めるために使ってきた。
「危ないニャ。『フロストクラッシュ』。これで近づけないニャ」
トライアはぶつかるギリギリのところで、後ろに下がると。小さな氷の塊を宙にばら撒き、男の行く手を阻む選択を取る。
「ただの氷では無さそうだな。どんな効果があるんだ。まぁ、素直に答えてもらえるわけがないが」
「気になるなら、近づいて見たらどうニャ」
「そうだな・・」
男は落ち着いた声でそう言うと、スッと腰に手を伸ばすと、氷に目がけてナイフを投げた。
そして、命中した瞬間、氷は四方に針状の氷が飛び出すように肥大化した。
「へぇ〜。これはヤバイな」
男は余裕そうに、その大きな氷塊をボーッと眺めている。
その攻撃の機会をトライアは、見逃さなかった。
「チャンスニャ!『フレイムカット』」
その氷塊の上を軽く越え、炎の爪を立てると、飛びかかった。
「しまっ!痛っ」
男は急いで後ろに逃げようとしたが。それよりも早く、炎の爪は男の腹に浅めだが切り傷を負わせることに成功した。
「どうニャ?痛いでしょ」
男の傷口を指さしてそう言った。
実際に、炎で切りつけたことで。切り傷がほんの少し、ジリジリとまだ焼かれている。
「こんなもので私の動きを鈍らせられとでも」
「正直、思ってないニャ。でも、ダメージがないわけじゃない」
「それはそうだが。(回復魔法を使っても、効果は薄いだろうが。やってみるか)『ヒール』」
そう言うと、男は回復魔法を唱えた・
回復魔法には、レベルが存在する。
下位の魔法は、疲労の軽減、止血(ある程度まで)ができる。
中位以上の回復魔法は、かなり人を選ぶ高難易度の魔法である。
以前にカインが空気の振動で与えた擦り傷が無くなりはした。が、血は止まりはしたものの、トライアのつけた傷は塞がらなかったようだ。
「回復ができるなんて、素直に言って、凄いニャ。でも・・ここまでニャ」
「『リフレクト』!」




