激戦−2
カインが真下から、再び空気の波動を発生させた。
「またか」
「剣に捕まろうとしても、無駄ニャ」
男が刀を抜こうと、手を動かした。・・が、その瞬間をトライアは見逃さない。手が届くよりも、空気が到達するよりも早く動き、スッと男の刀を鞘ごと奪い去る。
「ちっ!『スピードア・・」
「逃さないニャ」
男が魔法を発動する前に、トライアは背中に思いっきり蹴りを入れ込んだ。
「ガッ」
うめき声をあげながら、宙に浮かび上がるとともに。カインの『リフレクト』が男に直撃する。
空気の波動は、ゴォォと轟音を鳴らしながら、男を近くの家の壁まで吹き飛ばされると。打ち付けられるどころか、貫通し、後ろにあった別の家で止まった。
「うわ〜。流石にあれは痛そうですニャ」
トライアもあまりの痛々しい光景に、思わず目を背けた。
「カイン様。威力は素晴らしいのですが、あの家は大丈夫なのですか?もし、住民が住んでいたら・・」
マドレーヌが心配そうに壁が一部崩壊した家を見つめる。
「前に言った気がするが。ここらの家は、かなり前からある。もうかなり劣化が進んでいることから、退去者が急増し、残っている者は数人程度。それに、あの脆さを考えると、今も住んでいた。とは考えにくいはずだ」
「それもそうですね。男のこともついでに、確認に行きましょう」
壁が崩壊したところまで行くと、男は目を閉じ横たわったままだった。
「もしかして、死んじゃったニャ?」
トライアが半分笑いながら、そういった時だった。
瓦礫の中から、微かに声がする。それを3人とも聞き逃さなった。
「良かった。まだ、生きているようだな。引きずり出して軽く、治療を頼んだ。マドレーヌ」
「分かりました。欠損などの致命的な部分だけ直しますね」
マドレーヌは、心臓などの臓器の治癒などの高度すぎる回復は使えない。だが、傷の修復、致命的な部分でも皮膚表面に近い部分であれば完璧に塞ぐことが可能なレベルではある。
マドレーヌによって瓦礫から、無抵抗のまま男が丁重に運び出される。
「う〜ん。これは・・治すのは、頭部の出血だけでいいですね」
そう言うと、手に魔力を集中させると、男の頭の上に持っていった
「うっ」
歯を食いしばり、痛みを我慢している男にカインは近づき、「さて。もう一度聞くが、誰だ?」と問いかける。
普段、どんなことがあっても落ち着いているカインの声が・・トライアには少しだけ、怖く聞こえた。
「うっ、言うつもりはない」
「そうか。なら、別の言い方に変えよう。言えないのか?」
情報を言えないように、洗脳魔法でもかけられている可能性は十分にある。と考え、カインは優しく問いかけてみる選択を取った。
「もし、そうだと言ったら」
「分かった。もう聞くことはない。とりあえず、お前は僕の屋敷で軟禁させてもらう。上に報告されたら面倒だからな」
カインはそう言うと、男を担ごうと、更に近づいた時だった。
「流石に、命令違反するわけにはいかないからな」
諦めた顔で男がポケットに手を突っ込んだ。
そして、ピッピッという音が鳴り出す。
「マズイ。マドレーヌ、トライア今すぐ離れろ!」
「えっ、は、はい」
マドレーヌもすぐに状況を理解すると、トライアの手を掴み、その場を離れるべく走り出した。そして、その後をカインも急いで追いかける。
3人が走り出した10秒後・・
ドガーンという轟音が街の中に響き、その爆風と煙が3人の元へと届く。
「カイン様、大丈夫ですか?」
「僕は大丈夫だ。2人は大丈夫か?」とトライアとマドレーヌの服に付いたゴミを払いながら、そう言った。
「はい。ですが、犯人が誰か分からなかったですね」
マドレーヌは俯き、残念そうな表情を浮かべる。
「いや、予測・・・というか、確定レベルで誰か分かった」
「えっ!誰ですか?」
カインのその発言に驚き、はっ!と顔を上げた。
「分かるはずだ。思い出したくないかもしれないが、僕と一緒に反乱を起こしたマドレーヌならば」
そう言われ、マドレーヌは反乱時の情景を一部一部、脳内で再生しようと試みる。
カインの能力は、『NARUTO』のペインに影響を受けて、作りました。まぁ、引き寄せと反射の力の部分だけですが・・




