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第75話 ひでぇなぁ



ーーー

長い廊下を歩き、シュージンとバッツはジャンヌス姉妹に案内され、重厚感ある扉の前にいる。

「ちょっと待ってください!」

何かを思い出したかのようにバッツが姉妹に訴える。

「あの、そういえばオレ達の服装とかドレスコードとか大丈夫でしょうか?」

バッツは自らの黒ローブを指差して質問する。その隣りにはアロハシャツの男がいる。

「ま〜大丈夫っしょ、あーしのコレも怒られた事ないし。」

デビュは着崩した軍服とよれたシャツを見せびらかすように両手を広げて言う。

「伯爵様は大らかな人だ、よっぽどの姿でない限りお怒りはしないッ。」

「じゃあ大丈夫か。」

(え?アロハはセーフだと思ってるんですか!?)

楽天的な考えをするシュージンに驚くバッツ。そんなバッツの心配を他所に、扉を開くジャンヌス姉妹。


ーーー

薄暗い部屋の中にはトルソーが大量に置いてある。そのトルソーの集団の奥にマホガニーの執務机があった。そこに座る白髪の60代くらいの男性がこちらをじっと見つめてきた。

その佇まいにバッツは息を飲み込む。すると、横のシュージンが一歩前に歩み出て自己紹介をする。

「この度は、お目通りの機会を頂きありがとうございます。見ての通り、私は石売り兼ウクレレ奏者のコーモトと申します。横の者は私の助手でございます。」

(一見慇懃だけどふざけてるーっ!?)

バッツはウクレレ奏者の部分必要かと疑問に思った。

こんな自己紹介をしてまた、町の召喚石屋の店主のように怒られるのでは?バッツが考えていると、伯爵が口を開く。

「ほぉ、儂はブレイン・T・マルス。職業は伯爵と・・・」

マルス伯爵は美しい低音の声で自己紹介をしながら、ゆっくり立ち上がり部屋にあるトルソーをシュージン達に見せる。

「ランジェリーショップのオーナーである。」

「何故に!?」

トルソーに着せられたレースを遇らった下着を見せつけられ、思わず声に出してしまったバッツである。すぐさま失礼な態度をとってしまったと後悔したバッツだったが、マルス伯爵は気にする様子はない。

「ふぅむ、その疑問に答えよう。」

むしろ、丁寧に説明しようとする。

「・・・実は、幼少の頃よりパン屋になりたかったのだが、イースト臭いのが苦手な為、語感が似ているランジェリーショップになったのだ。」

「もしやブーランジェリーとランジェリーショップを勘違いしてらっしゃる!?」

その時、シュージンが膝から崩れ落ちる。

「俺より面白い自己紹介だ・・・。」

「自己紹介に面白さ求めてませんよ!?」

「さらに言えば、お前のはそんなに面白く無かったッ。」

セフィニまでにダメ出しをくらった。

「みんなして俺を否定しようって言うのか・・・?」

落ち込むシュージンに伯爵が声をかける。

「ひでぇ(ひてい)なぁ。」

「駄洒落まで言うのか!?この伯爵!?」

伯爵という肩書の割にひょうきんな性格に驚くバッツであった。


続く


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