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あなたと私の分岐点  作者: maruko


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 マリィは朝から落ち着かない。

 昨夜から興奮しすぎてなかなか寝付けなかったからだ。前世での遠足の日の前の晩状態だ。

 今日はとうとう待ちに待った休みの日。

 寝付けなかった上に起きたのは、まだ空も明けきれず白む時間帯。

 朝の仕度を終えてから、何する事もなく無駄に部屋の掃除などをしていた。ただでさえ狭い侍女部屋、それを朝っぱらから磨き上げて時間を潰していたのだ。


 あまりに早いと朝の賄いも作られていない。頃合いを見て食堂に行くと、エリーゼが使用人休憩室のど真ん中で既に鎮座していた。


「エリーゼ様⋯⋯おはようございます」

「あっ、マリィ様。おはようございます」


 お互いに挨拶を交わしてからマリィはエリーゼを見ると、薄化粧の下に隈があった。どうやらエリーゼも寝付けなかったのだろうと、マリィは何だか同類・仲間、そんな言葉が頭に浮かんだ。そしてそれがとても嬉しいと思えた。


「食事を終えたら、どこで話しますか?」


 マリィの問いにしばらく考えて、エリーゼは自分の部屋でと答えた。

 あまりにも早い時間の為、周りには誰も居ないから今話しても良かったけれど、やっぱり落ち着いて話したかった二人。

 朝イチの注文に、離宮の料理人が文句を言いながらも拵えてくれたサンドイッチを持って、二人はエリーゼの部屋へと向かった。



「漫画?!そう⋯漫画なのね」


 エリーゼから、この異世界が漫画の世界だと聞かされたマリィ。マリィの中では小説か漫画だろうとは薄々思っていた。だからその点に関しては想定内だった。そして自分がヒロインだと聞かされてもそれはそれで納得もした。男爵家という貴族の中でも最下層の出身だし、自分の裏背景の複雑さを思えば、それは有に想像できる範囲だった。


 そしてやはりというべきか、ヒロインマリィの相手とされるヒーローは、ルーセントだった。


「やっぱりねー。良かった回避しといて」


 マリィの言葉に驚いて目をみはったのはエリーゼの方だった。


「回避?どうして!」

「んーまぁルーセントには正直問題はないのよ。ただねぇその妹が⋯私の天敵なのよ」


 マリィの言葉で、エリーゼは漫画の知識とは掛け離れた事を聞かされる。


「嘘っ!そんな事を!」


 エリーゼの知る漫画の中では、アマリーヌの所業は無かった。

 いや、ひょっとしたらあったのかもしれないが、それはきっと作中で1行か2行程あったりする、誰かの回想シーンだったりしたのかもしれない。そんなことまではエリーゼは覚えていないのだ。本来漫画というものは、絵と台詞を目で追うものだ。

 それを一言一句覚えているのは不可能だ。

 それでもある程度の事を覚えていたのは、割と話題になった作品だったからだろう。


「マリィさんはこの漫画を知らなかったの?」

「うん、説明されても読んだことはないと思う。思い出せないもん」


 それでも自分がヒロインかヒドインだと当たりを付けたのは、知識として異世界物を読んでいたからだったのだなぁとエリーゼは感心してしまう。


 それから二人はこ(・)の(・)世(・)界(・)で(・)の(・)お互いについて擦り合わせを行った。


 そしてエリーゼは気付いた。

 今のエリーゼ達が生きるこの異世界が、漫画の中とはだいぶかけ離れてしまっている事に。


「私、ヒドイン回避出来てるかも?」


 嬉しくなって思わずエリーゼは呟くと、マリィはニコリと笑った。

 マリィの中では頼りなくとも良い人なルーセントを、エリーゼにプッシュしようかと頭の中で算段していた。







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