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あなたと私の分岐点  作者: maruko


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 防犯ブザーを贈られてから、途端にエリーゼはルーセントへの警戒を解いた。

 それまでは、流刑を回避する為に、彼と距離を置くことに必死だったが、彼のそばに自分以外の転生者がいる事に、エリーゼは希望を見出したのだ。


 (もし、強制力とか私にとって不利なことが起こったとしても、事前にその人に打ち明けていたら、助力してもらえるかもしれない。だって同じ転生者(仲間)だもの)


 エリーゼは、マリィ(開発者)が断固拒否した事は知らず、ルーセントから会うのをやんわりと断られた為、それを鵜呑みにしていた。

 本当に忙しいから、会えないと思ったのだ。

 だから、はじめに思っていたようにマリィ(転生者)に向けて手紙を書いた。


「セルディ伯爵、開発者の方がお忙しいとは先日お聞きしましたが、それならばこちらを渡して頂けませんか?」

「手紙?」

「はい」

「どうして手紙を?」


 ルーセントは、エリーゼがマリィに手紙を書く意味が理解できずに理由を尋ねる。だがエリーゼは、理由を尋ねられても本当の事は言えない。防犯ブザーの開発者が自分を転生者だと告白しているとは限らないからだ。


 (もし、秘密にしているなら、私が言ってはだめよね)


「それは、お礼です!良い物を作ってくださったお礼を述べたくて」

「えぇ?そんなに気にしなくていいのに。まぁでも、モエラーズ男爵令嬢の気持ちが籠ってるのだろうから渡しておくね」


 ルーセントはニッコリ笑顔で、エリーゼの手紙を預かった。

 それから3日後にもまた、同じようにエリーゼから手紙を預かったのだが、何度もお礼を言うなんて律儀な人だな、位にしか思わずにまたもや受け取った。


 エリーゼは手紙の返事が来ない事に次第に不安になっていく。

 転生者がどんな立ち位置か分からずに手紙を書いてしまった事が、自分の失敗なのではないかと思い始めたのだ。

 何故なら、もしエリーゼが同じような手紙を受け取ったら嬉しいと思ってしまう。

 日本(前世)の事を語り合える人がいたら、どんなに心強いだろうと常々思っていたからだ。

 だけど、相手がそう思っているとは限らないことに気付いた。

 何故なら手紙の返事がもらえないからだ。


 エリーゼは手紙を送って読んでもらえたら直ぐに返事が来ると思った。ひょっとしたら忙しいにもかかわらず、会いに来てくれるかもとも思っていたのだ。


 それが2日経っても手紙の返事は来ないし、誰もエリーゼに面会要請をしてこない。

 ルーセントは相変わらず待ち伏せしているのに、なにも言ってこない。


 そこで傍と気付いた。


 ルーセントの側にいる転生者が、ヒドインであるエリーゼと敵対する人物だったら、会いたくない上に警戒するんじゃないか。

 そう考えて、2通目の手紙には、自分は攻略対象とは距離を置くつもりでいる事、今ルーセントと話すのは転生者(あなた)との、間にいるからだと認めた。


 だが、それから数日待っても返事は来なかった。

 その上、それまではありえないほど頻繁にエリーゼに会いに来ていたルーセントまで、パタリと訪れなくなった。


 エリーゼは、これは断罪の前触れではないかと憔悴していった。






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