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元始種になっちゃったら氷結種に恋をした  作者: 阿川時定


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8/8

第8話

 寮の一部屋にバスルームが一つあり、ほとんどの寮生はそれで困っていない。

 魔導(まどう)学園での洗濯は寮母に任せるが、部屋とバスルームは掃除を各個人でやらなければならない。

「ふう、これでよし」

 石山(いしやま)ヒビも、定期的にせざるをえない。


(たまに全自動自分洗い機がほしくなるけど、これもそうだわ。ある程度でいいから自動ならどんなに楽か)

 着替えたら洗濯物は寮母の所へ。

 女子しかいない。

(そういえばそうなんだよね、レイがどこか考えた時、女子寮男子寮で分かれてるって考えてなかった。多分8号棟には男子しかいないんだ)

 そんな10号棟での出来事も過ぎ、翌朝。

 「行ってきます」を言う相手は変わったが、毎日、母と「こんなことがあったよ」とケータイでのやり取りはしている。


 遅れてしまうなどということもなく、校舎の昇降口へ。

 入ってすぐにレイに見つかった。すると、

「頭、葉っぱが()ってたよ」

 ほら、と取られ手渡されて、枯れ葉の重たくなさで手がかゆくなる。そんなヒビの胸も高鳴っている。

(あ、足(もと)が……でも大丈夫)

 元始(げんし)種の力の暴走による、コンクリートの花。ごく小さな。それもすぐ消えた。


 靴を()き替えながら、ふとヒビは思った。

(枯れ葉、緑の葉に戻せないかな。自分の細胞がされたことってそういうことなんじゃ)

 教室へ行き、席へ着くと、やっぱりレイの背中の存在感が大きいなと思いながら、ヒビは枯れ葉に集中した。


 すると、枯れ葉が少しだけ若返った気がした。

「ね、レイ、見て見て」

 ときめきどころではなかった。

 枯れ葉を手に載せた状態で、念じる。さっきよりも強く。

 すると、その枯れ葉がまた、少しだけ若々しさを取り戻した。

「ね」

とヒビが言うと、レイは、

「おお、(すご)い。やっぱ元始種なんだ。なんでなんだっけ。ハーフ?」

「いや、違うの。大怪我を治されて」

「そっか。慣れた細胞に治されたんだろうね」

「そっか、そうだね」

 何度も何度もヒビが念じると、若葉となったそれは、しなやかさを取り戻した。

 ホームルームの時間まで使って。

 だからレイから、

「ほら、プリント」

「あ、ああ、ごめん」

 受け取る時に、手が当たった。机に花が咲く。小さく。そしてすぐに消えた。

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