その日の夜
その日の夜になって。
私はおふとんの中で、考えていました。
トートン先生とミスティが結ばれたら、とっても素敵。
トートン先生はやさしくて誠実だし、ミスティは生真面目で一途で。
だからきっと、トートン先生をしあわせにできる……。
二人が夫婦になったところを想像してみました。
立派な学者さんと、控えめでしっかりした奥さん。
うん、きっと、お似合いだと思う。
それで、どうしよっか。
結婚するなら、今のトートン先生のお部屋では、狭すぎるかも。
ふたりで、しかも、家族が出来たら……。
うん、この屋敷の近くに、一軒建ててしまえばいいわね。
それだと、トートン先生も、今までみたいに図書室に通えるし。
なんならミスティも、このまま私付きの小間使いになってしまえばいいし。
それに……ミスティは私の養女になるかもしれないんだし。
そうなったら、すてき……だけど、なんだか変な感じ。
ミスティのほうが年上だもん。
でも、まあ、きっと大丈夫よね……?
……そんなことを考えていると、私の部屋のドアが静かに開きました。
私は、一瞬、どきっとしたけれど、でも、気配と忍んだ足音で、それが誰か分かりました。
ハルは、ベッドの脇にかがんで、かけぶとんの上に出していた私の左手を、自分の両手で包み込むようにしてにぎって。
そうして、そのままじっとしていました。
私は、うれしくて、ハルを驚かせようと思って、ハルのその手をにぎり返しました。
「あ……」
「……こんな時間に女の子の部屋に無断で入るなんて、あんまり感心しないよ、ハル」
「うん……ごめん」
「ふふっ、いいよ。ゆるしてあげる……」
そのとき、昨日ハルの手をにぎって眠ったときの、安心できる感じを思い出して。
「……そのかわり、お姉ちゃんが眠るまで、そのまま手をにぎってなさい」
「うん……」
暗闇の中、ハルが笑ってくれたような気がしました。




