図書室で
台所からの帰りに。
私は、トートン先生に会おうと思い立って、図書室へ行きました。
授業に出るのは久しぶりで、なんだか緊張しました。
図書室のドアをうすく開けて中の様子をうかがってみると、長机をはさんで、ハルとトートン先生が向かい合って座っていました。
ハルが何かを淡々と話していて、それをトートン先生が難しい顔をして聞いています。
いつもの授業じゃないのかな、でも、このまま立ち聞きするのはよくないよねって思って、私はドアを開けました。
ハルもトートン先生も、私のほうを見ると、表情をやわらげてくれました。
「これはリーゼロッテ様。お加減は、もうよろしいのですか?」
「はい、おかげさまで……」
「それは、よろしゅうございました」
トートン先生は、そう言いながら、ハルの隣の椅子を引いてくれました。
私はそこに座って……見ると、ふたりとも教科書もノートも開いていませんでした。
ちょっと変に思ったのが、顔に出ていたんでしょうか……。
「や、すっかり雑談が長くなってしまいました。……リーゼロッテ様、今日は、いかがなさいますか?」
私は、ちょっとズルをしようと思って。
「あ……あの、今日は見学で」
そういいました。
そうして私は、授業のあいだじゅう、ノートを取っているハルのわき腹を突っついたり、書く手を休めているハルからノートを取り上げて、落書きしてから突き返したり、そんないたずらをしていました。
トートン先生は、そんな私のことを叱りませんでした。
ハルは、しょうがないなあ……って笑っていました。




