明るい日の夜
目が覚めたとき、あたりは真っ暗でした。
とても静かで、時計の針の音が部屋に響いて聞こえました。
まだ、真夜中みたいでした。
私は、もう一度、眠ろうとしたけれど、もう目がさえてしまっていて。
暗い天井を眺めていると、自然と昼間のことが思い出されました。
はやく……はやく立ち直らなきゃ……。
みんなに心配かけてばかりいたら、だめなんだ……。
はやく……忘れなきゃ……。
そう思って、「忘れよう、忘れよう」って自分に言い聞かせていました。
そして、あんなことが起こる前のことを思い出そうとしました。
あんなことが起こる前、私はハルと手をつないで、あの場所へ行って……。
ハルが腰掛けに座って本を読んでて、私は……。
「こいつ、自分が何されてるか、わかってないだろ」
なにされ……? ハルとおしゃべりしたり、それから、花を摘んだり……それから、花を摘んで……それから、花を……花……。
「こいつは、なにをぶつぶつ言ってるんだ……?」
お父様が……お母様……あの場所で……結婚の、申し込み……。
「お前の『お母様』も結婚する前は、こんなふうに遊んでたかな、あ?」
そんなことない……そんなわけない……。
「ほどほどにしとけよ、気が狂うぞ、そいつ」
「大丈夫だろ、別に」
おとうさま……おかあさま……。
「こいつ漏らしやがった! 汚ねえ! おい、ふざけんな! 汚ねえな、オイ!」
痛い……痛いよ……だって痛いよ……だって私は……。
……思い出の中を一歩すすむたびに、あのときの記憶がよみがえって。
頭からおふとんをかぶってみても、それは追いかけてきました。
逃げようとして、おふとんから出て、でも、どこへ行くこともできなくて、暗い部屋の中に立ち尽くしました。
考えないようにすればするほど、それは私の大切な思い出に絡みついてきました。
お父様とお母様の場所なのに。
あの大切な場所に、こんな思い出を重ねないといけないなんて……。
どうして?
どうして……あんなことをしたんですか?
……考えても、私には分かりませんでした。
そうして私は、あのときの光景を、何度もなぞるように頭の中で繰り返して、自分で自分を苦しめていました。
頭を振っても、髪をかきむしっても、それを止めることができませんでした。




