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人形屋~ドールハウス~  作者: 梅咲ルリ
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10年後

 それから、10年後。僕は15歳になった。あれから、僕は彼女の家へ行ったが、彼女の大きな家は空き地になっていた。皆に聞いてみても「元から、空き地だった。」とそろいもそろって、そう言われた。その時は、5才だったので皆のことを信じそうになった。だが、そのたびに夕日で光っている涙が、震える声が僕の頭の中を駆け巡る。

 

忘れないで 忘れないで 忘れないで


 プーパ国は物語の国だ。人が創りだした想像の世界だとも言われていて、ピーター・パンや赤ずきん、シンデレラなど有名なものの登場人物から、魔女や幽霊、神などのものもそこで生活している。


でも、そこへ行く方法はない。


何故なら、プーパ国こそが想像の国だから。面積は千八百kfだと言われているが、どう考えてもそれより広いと思う。第一に人口が多すぎて入りきらないと思う。


でも、村長に聞くと笑ってそうかもなと言っていたので多分、適当でいいと思う。そこへの行き方は勿論誰も知らないし、そもそも無いかもしれない。彼女は「プーパ国」と言っていたとは思うが、はっきりしなくなってきた。ここまでしといてす一切情報が無いと、自信も無くなる。


 そんなこんなで、少し諦めていたのだ。確かに幼い頃に会った少女は可愛かったし、僕の知らないこと何でも知っていて話していても楽しかった。だが10年たった今、記憶も朧げだ。ピンクのリボン、金色の髪、青い大きな目は思い出せるのだが、はっきりしない。 


ただ、「忘れないで」という言葉が度々、夢に出てくる。10年たった今でも…


 絶対に、忘れないよと誓ったあの思いを…





 そんなこんなで、時は進むのは早く、僕は一人前に「ペンキ塗り」をやっていた。この村には、僕ぐらいの若者は僕しかいない。理由は簡単。女性が少ないのだ。この辺は、女性が住むには厳しい。


 そもそも、この村には女性は来るのは無理だろう。北には大海とも思われる大きな川、南には男でもキツイ急な斜面の山がある。ちなみに、落ちたら一生戻って来ることができない。山のふもとには、大きな口が待っている。


 東には底なしといわれる漆黒の谷があり、石を落しても何の音も聞こえてこない。西には何が出てくるのかわからないような巨大な森林がある。たまに、誰かの叫び声と、ウヒヒと笑う声が聞こえる。(だから、東西それぞれに魔女がいるといわれるほど、恐ろしいのだ。)


 また、ここら辺は大きな山と川に囲まれているからか、平均気温が低い。なので体の弱いものはすぐに倒れてしまう。つまり、なかなか子供や女性は住めないわけだ。僕の母親は僕を産んですぐに病気で倒れたらしい。


 まぁ、最近はだいぶましになってきていて、5歳未満の子供や女性が増えた。(といっても僕と年が近い人はあまりいない・・・)最新技術が発展し寒くなくなり、風邪をひいてもすぐ直るようになったのだ。おかげで、畑仕事をしても辛くなくなった。


 ちなみに、僕の父はこの村で村長をしている。なぜか。村長の息子がペンキ塗りなんかをしていいのか?!と言われそうだが、人手不足なんだよ。


 あ、忘れてた。


 僕の名前は「ア・コアデラコ」皆には、コアって呼ばれてる。特技は、今やっているペンキ塗りなどの雑用の仕事で、趣味は図書館で調べもの…地味すぎて泣けてくるね。


 自分の地味さ加減に呆れ、さめざめ心の中で泣いていると、フェル兄がよく通る声で僕を呼んだ。


「コア~そっち終わったか~」

「はい!終わりました!」


この人は、この村で僕と年が一番近い。といっても7も離れている22歳。名前は、クリュー・フェルト。僕はフェル兄と呼んでいる。好きなものは、酒。たまに、僕に進めようとしてくるから、困る。まだ若い(ついこないだ飲めるようになった)のに最近、飲み過ぎだと思うんだ。


「帰るぞー、酒だ、酒ー!!」

「今、行きます!ってまだ昼間です!」


 呆れながらも僕は、彼の元へ走って行った。

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