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Rad des Fatalität~希望の風~  作者: 甘藍 玉菜
【夢幻空疎の楽園聖都市】中篇
26/42

2/2

以前登場したあの人物が再登場

あと、場所が場所な為閲覧注意


特に食事中の方










一体どれだけ気絶していたのか・・・気が付けば俺は薄暗い下水のような場所で倒れていた。




「うぅ・・・痛い」



辺りを見回せば、周囲には瓦礫のような物が散乱しており、床が抜けて自分が下へと落ちてしまったのがよくわかる。

一体ここはどこなのだろうか。


悪臭も更に酷くなっており、よくよく見ればヘドロのような塊が床や壁にまでこびり付いている。





「うわぁ・・・・おぇえ・・・」


泣きたい。

今まで嗅いだ中でもダントツに臭い。魂が壊れそうだ。

あまりの激臭に、涙さえ流れてくる。



とりあえず、なんとなく持っていたタオルを口元に巻いて、マスク代わりにする。


これで幾分かはましになったが、それでも鼻がもげるぐらい酷い臭いなのは変わらない・・・・・・

早くここから逃げないと、たぶん死ぬ。いや確実に死ぬ。



死因:悪臭、なんて俺は絶対に嫌だ!!



ゆっくりと立ち上がった俺は、とりあえず道沿いへと歩いて進むことにした。






通路を一歩一歩進むたびに、靴の下からプチプチと何かを踏んでいるような感覚がする。

気になって、目を凝らして足元を見てみる・・・・・





「・・・・・・・・?・・・・・・?!・・・!!!!(ウギャァアアアアア!!!!)」(鳥肌)


ウン、キノセイキノセイオレハシラナイナニモミテナイ。









・―――――――――・




行けども行けども、出口らしき場所が見付からない。

一日歩き回っているような感覚がするし、30分も過ぎていないような気もする。

変わり映えのない同じような景色が続くと、人間はどうも時間の感覚さえ麻痺してくるらしい。



迷路のように入り組んだその地下は、上の華やかな街並みとは全くの真逆だ。

まるで、見られたくないモノを其処にまとめて押し込んだかのような、ゴミの掃き溜めのような場所だ。


鼻をなるべく使わないように、その分目や耳に意識を集中するようにして出口を探していく。







それはしばらく歩いた時だった。

下水から離れるようにして進んだおかげか、気持ち的には悪臭はマシな方になっていた。


とにかく進んだその先に、一つの鉄の扉が、たった一つ。ぽつんと取り残されるようにしてそこにあった。



出口・・・・には見えない。

むしろ、ホラーゲームにありがちな、この先確実に何かありますよ的な、そんな雰囲気を醸し出している。

だが、同じような光景が続く中で見つけたたった一つの違うもの・・・


もしかしたら、今の状況を打破できる何かがあるかもしれない・・・

俺は、頭の中でそう無理矢理納得させて、扉の中へと入っていった。




扉の中は、先ほどまでとは違いあまり異臭が感じられない。

俺はとりあえず、マスク代わりとして使っていたタオルを下す。

錆び付いた空気が其処に留まっているかのような、そんなひんやりとした長い廊下が先に続いていた。


まっすぐに伸びた先に、鉄格子のようなものが見える。

とりあえず、俺はその先へ行こうと足を一歩踏み出した。




カツンカツンと足音が通路に響き渡る。

ここは先ほどの下水道とは別の、不気味な感覚がする。廊下の先にあった鉄格子はかなり錆び付いているが、少し力を入れただけで簡単にスライドすることができた。





「・・・なんなんだ・・・ここは?」


ぐるりと、鉄格子の先にあった通路を見回す・・・鉄製の壁は錆びていて、塗装がほとんど剥げている。

その空間にポツンポツンといくつかあるのは格子の部屋・・・まるで留置場だ。



鉄格子の扉近くにあった部屋をチラリと覗き見れば、かなり薄汚く汚れた粗末な簡易ベッドが一つ。置かれていただけであった。



ある意味これも不気味な光景ではあるが。いやまあ、死体がなかっただけましだな。

格子を握れば、ポロポロとさびがこぼれる様にとれていくが、まだ格子としての役目は果たしているらしい。

入ってきた鉄格子の扉とは違い、こちらは力を入れてもピクリとも動かなかった。




一つ二つ・・・と見ていった先の最後の部屋。そこにその男はいた。


黒い服を着た長身痩躯のその男。

帽子を顔にかぶせ、そのやせ細った足を行儀悪く組ませるようにして、粗末なベッドに寝っ転がっている。



・・・・以前、街で見かけた猫背の男だ。


人気の全くなかったその場所に不釣り合いなまでに存在しているが、格子の中にいるその姿は、言い方はかなり失礼だがどこか似合っていた。





数秒だったか。しばらく見ていると、男はもぞりと体を動かしてゆっくりと起き上がった。



「なんだ・・・・もう飯の時間だってか?」


まるで嘲笑するかのような年相応のかすれた声とともに、ゆっくりと起き上がった男と目が合う。

その時間もまた数秒。




「・・・・・・おめぇさん、誰だ?」

「いや、そっちこそ」



男は、鳥の巣のようなぼさぼさとした髪を乱雑に掻きあげた。

初めて見たその合間から見える顔は、まるで烏のように鋭い、ギラギラとぎらついた眼をしていた。

次回は少々ホラーチック&戦闘回


始まりました中編の第四話はこれで完結です

「よかった」「面白かった」と思っていただけましたら、感想やブックマークなどお待ちしております。それが次回への励みになります。


※今現在、書き溜めたものを出している形なので暫くは更新は早めです。




キャラへの質問なども受付中です、お気軽にどうぞ。

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