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2-1 ゲームスタート

グローリアス王国が誇る教育機関、

グローリアス学院。


3年に1度、1年間教育が受けられ、

15歳、16歳、17歳が対象となる。


この学園を卒業した人材は、

城に登用されたり、国の重要な機関で働いたり、

また結婚にも有利になるとあって、憧れの場所である。


授業内容は、共通は魔法、マナー、ダンス、歴史。

それに追加して、男子は剣術、領地運営。

女子は裁縫、家の管理について学ぶ。


入学資格は一定の魔法が使える事、

後は入学試験で30位以内に入る事である。


魔法が使えるのは基本貴族なので、

貴族の学校と思われがちだが、

実際は魔法が使える平民を、

貴族が養子として迎える事も多く、

この辺りはあやふやである。


実際、ヒロインも平民で、孤児院育ち、

魔法が認められ、孤児院長の養女となり、

男爵の身分を得てこの学園に入学する。


とはいえ、王子と結ばれる事もあるヒロイン、

単なる孤児ではないのだけど、

それは今は語る時ではない。





それはさておき、

ゲームお約束の入学式の入り口の門。

そこに立っているのは悪役令嬢、

エリザベス・ペンバートン嬢(みよじ調べた)


そして、不安気な顔をして学園の門をくぐり、

何にもない所で転ぶピンク髪の女の子。


ヒロイン(今は名前不明)である。


ずてん!と盛大に転んで、

いててて・・・と膝の擦り傷に自分で回復魔法をかけている。


それを見て、目を光らせるエリザベス嬢。


「貴方、セシリア・フロストね!」


きょとんとした顔で、立ち上がりながら、

セシリアと呼ばれた女性が立ち上がる。


そうか、ヒロイン、セシリアという名前なのね、

覚えておかないと。


「この学園は貴族の為の学園、

 元孤児の貴方が来るなんて・・・」


そこで、一瞬期待する。


この悪役令嬢におじさんが転生してたりしたら、

親目線で語ってくれたり・・・


「学園の歴史を汚しますわ!

 立場を弁えたらいかがかしら!」


あ、しなかった。


普通に悪役令嬢だ。


ふうと息を吐き、セシリアが「申し訳ありません」

と言って、走って去っていくのを見る。


うん、ヒロインも転生者じゃなく、

ゲームそのままのキャラクターみたいね。


じゃ、仕方ない。


さっそくお助け令嬢としての仕事をしますか。





学園の建物の裏の方に行き、

べそをかいているセシリアにそっとハンカチを渡す。


「セシリアさんね、さっきは見ていたわ、

 自分の能力ではなく、家で勝負する

 困った方も一定いるものなの、

 あまり気にしないようにね」


びっくりした表情を見せるセシリア。


ハンカチを受け取る素振りがないので、

そのまま私がハンカチで彼女の涙を拭く。


「これからは、私と一緒に行動しましょう。

 あ、自己紹介が遅れたわね、

 私は伯爵令嬢のキャサリン・セーラムよ」


少し、まごついた後、

ぽつりとセシリアが言う。


「エリザベス様は公爵令嬢です、

 私と一緒にいたら、伯爵家であるキャサリン様には

 ご迷惑がかかるかと・・・」


「心配はいらないわ、私の伯父、

 つまり父の兄は公爵なの。

 よほどの事がない限り手だしはしてこないわ」


セシリアは目を見開く。


「どうして私を?」


「困った人はほっておけない、それだけよ」


本当は貴女がヒロインで、

私はお助けキャラなので、そうなるのだけどね。


少し考えた後。


「ありがとうございます」


とセシリアが笑って言った。



ズッキューン!!!!



何!この笑顔!めっちゃ可愛いじゃない!!!


こんなの王子が見たらイチコロよ!


よし、やっぱり王子ルート攻略に向けて一直線よ!

私は手を握りしめたのだった。






「あの令嬢はキャサリン嬢だな」


王子のウィリアムが呟く。


「そうですね、心配して見に来ましたが、

 セシリア嬢は、キャサリン嬢がフォロー

 してくださったようです」


護衛騎士のアーサーが続ける。


新入学そうそう、エリザベス嬢が問題を起こしたと聞いて、

フォローに来たのだが、

それより先にキャサリン嬢がフォローしてくれていた。


「これは、もう、父上に申し上げていいか」


「と言いますと?」


「キャサリン嬢と正式にお付き合いしたいと」


「もうですか!」


「美人で、今回の入学試験も1位タイの3位、

 頭も良くて、魔法も言う事がない、

 しかも優しいとあっては、

 他の男も黙ってはいないだろう。

 おたおたしていて、他の男に攫われたらどうしてくれるんだ!」


「それもそうですが、

 もっと人となりを知ってからでも・・・」


すでに根回しは始まっている、

高位貴族の子息で、不用意に彼女に近づく者はいないと、

ウィリアム様も分かっているはずなのだが・・・


「付き合ってから知ったらいい、

 いきなり婚約する訳ではないのだから」


「それもそうですが・・・」


「とにかく、彼女に振り向いてもらわないと」


「協力致します。

 そうですね、まずは国王にご報告からですね」


絶対振り向かせてみせる!

まっててくれ!


まずは運命の再会からか?どう演出するべきだ?


ウィリアムの心は浮足立っていた。

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