1-5(一部アーサー視点)
次の日、晴れたのでキャサリンのいつも通りの行動で、
図書館へ向かう。
現在の日本とは違って、
本は貴重品なので図書館からの持ち出しは不可。
コピー機なんてものもないので、
記録した情報はひたすら書き写すしかない。
伯爵家自前の馬車で図書館へ到着。
キャサリンの記憶で分かっていたけど、
図書館というより、ギリシャ神殿のような建物。
荘厳で、扉も分厚く、入るには許可証がいる。
顔見知りのカウンターの受付嬢に許可証を見せて、
奥へと入っていく。
壁一面に埋め尽くされるように並べられた本は、
それだけで圧を感じる程だ。
図書館の机と椅子があるスペースに荷物を置き、
次々と読みたい資料を集めていく。
欲しい情報は平民の生活、
それと野菜など食べ物が現在日本とどれだけ違うか、
値段や相場を確認しておきたかった。
他は昨日書きだした紙で、気になった所の補強。
水力発電をしているという知識はあるが、
現在日本のようにダムがあるのかとか、
細かい所を確認しておきたかったのだ。
窓際で、次々と本を捲っていった。
「あれ?あの令嬢」
図書館なので小声で話す。
声の主はこの国の王子ウィリアム、
そのウィリアムの発言に顔を向けるのが、
護衛騎士のアーサーだ。
「どうなされました?殿下」
「アーサー、あの本を読んでいる令嬢、
物凄い速さで本を捲ってないか?」
「ああ、あれは速読ですね、
一部の文官でもできる者がいますよ」
「速読?あれで読んでいるのか?」
令嬢は本を読んでいるとは到底思えず、
ページを捲っているようにしか見えない、
それでも読んでいるというのか・・・
「声をかけてみられますか?」
視線がその令嬢にから離れないウィリアムに、
アーサーが話しかける。
ウィリアムが女性に興味を持つ事は少ない、
いい機会だという思いがアーサーにはあった。




