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despair  作者: 十六夜
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第五章 炎と絶望と壊れた日常

視点変更があります。

「はあ……はあ…くそっどうなってるんだよ……」


俺は今保健室にいた。いや、保健室だった所にいた。その部屋は真っ黒になっていてまだ消えていない火も幾つかかあった。

唯一この部屋で原型を留めていたベッドの下に俺は隠れていた。


「あいつ、一体何をしたんだ……」



++++++++++++約1時間前 昼休み……


俺達は何時ものように集まって話をしていた。昼休みに全員が集まって来れたのは久しぶりだったので大分盛り上がって会話をしていた。


「それがさー前に柊の言っていた本は見付かったんだけど、俺の欲しかった本は見付からなかったから柊の本を代わりに買ってやろうか迷って……。」


そう俺が言うと迷いもせずに彰太は


「いや、そこは買わずに別の本屋に行って自分の分を探すだろ。」


そう言うと西沢さんと浅倉さんが批判した。


「酷いー、それでも友達。」


「本当だよね、そこは買ってあげるべきだと思うよ。そうでしょ柊君?」


「えと…、でも大貴もお金が少なかったみたいだし……」


柊がどう答えたら良いのか困っている内に藤原と中林が早く続きを知りたかったらしく


「で、結局大貴はどうしたんだ?」


「やっぱり園町の方なのか?」


と言って来たので俺は答える事にした。


「それは………〈ぎゃああああああーーー〉だよ。」

突然どこからか叫び声が聞こえた。どうやら外かららしい、無論の事教室にいた全員が窓から外を見ようとした。

俺達はドア側の方で話をしていたので皆よりも遅れて窓に近付けなかった。


「何があったんだ?」


と彰太が窓から見ている人に声をかけたが反応がなかった。じっと外を見ているだけだ。

仕方なく俺達は見ている人達の間を通り窓の外を見た。そこから見えたのは、黒い何かと荒川だった。

これがどうしたのかと俺は思いながらもう一度よく見てみた。

別に何もおかしな所は無いなと思いながら黒い何かを見た。


「え…………嘘……だろ………。」


俺の出た声はそれだけだった。認めたくなかった、しかしあの黒い何かは間違いなく……………










俺達の担任の先生だった。


「――――」


荒川が何かを言った様に見えた。

その声は段々大きくなってきて何を言っているのかわかった。


「あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは。」


意味の分からない叫び声だった。 そして突然荒川がこっちを向いた。誰を見ているかは分からなかった側少なくとも俺ではなかった。


「殺してやる、全部を、全てを、何もかも、ここにある全てを壊してやるーーーーーーーーーー。」


そう叫んだ瞬間、荒川の周りから炎が出てきた。真っ黒い炎だった。

その炎が荒川の周りをぐるぐると回っていた。

荒川が此方に手をかざした、その時俺は何か嫌な予感がして窓から逃げる様に離れた。彰太や西沢さん達、ほとんどの人が俺と同じ行動をした。

何人かはまだ窓から離れて居なかった。俺がドアから出ようとした直後教室の窓が炎で吹き飛んだ。俺達は夢中でその場から逃げた。

叫び声が聞こえ炎が何回も見えた。俺は無我夢中で走り続けた……………


++++++++++++


そして今に至る。

暫くの間じっとしているとさっきまで聞こえていた爆発音が聞こえなくなった。俺はベッドの下から這い出て、足音をたてない様にしながら静かにドアを開けた。辺りを見渡したが黒い色の小さな炎が出ているくらいで何もなかった。

俺は中に戻りほっと溜め息をついた。それから皆の事が心配になり、6人にメールを送った。

メールを送ってから大体10分位たった頃メールが連続で何通か返ってきた。来たメールは合計で四通だった。一つずつ内容を見ていくと返信してきたのは彰太と藤原と中林と浅倉さんだった。

どうやら全員別々の場所にいるみたいだが無事らしい。俺は一先ず安心すると全員で集まろうと思い保健室に来てくれと返信した。今度は1分も経たない内に分かったと返信してきた。

念のため柊と西沢さんにはもう一度メールを送っておいた。


「皆……ちゃんと来てくれよ……。」


火の焼ける音に俺の声は消されてしまった様に思えた……


++++++++++++中林side…


「ふー、一様メール送ったけど……これ絶対やばいよな。」


今僕は図書館にいる、僕と同じ様にここに逃げてきた人もいたが知らない人ばかりだった。


何故ここがやばいのかと言うと、図書館は4階西側にあり3階に降りるまでずっと一本道である。

つまり荒川が来たら逃げ道が無いのだ。


「とにかくここから離れよう。」


そう思い僕は階段をゆっくりと降りた。ついて来る人はいなかった。

階段を降りきり3階に到着し


「さて、どっちへ行く方が保健室に近いかな?……」


と2階へと続く階段と2棟に繋がる通路を見ながら言った。しかし考えている間に下から爆発音と声が聞こえてきた。


「よし、こっちに行こう。」


そう言って通路の道を歩き出した時後ろから爆発音が聞こえ思わず振り返った。その爆発の煙の中から……


++++++++++++園町side…


「さて、メールは送ったし、さっさと保健室に行くか。」


今俺は2棟の西側1階の玄関前を歩いていた。


「けど……保健室ってどこやったっけ。」


一番肝心な所を忘れていたので仕方無くもう一度大貴にメールを送ろうと思い、携帯を取りだそうとした。だが…


「ははは……1人見つけた…」


と声が聞こえた。

俺は違っていてくれと願いながら後ろを振り向いた、しかしそこには願いを裏切るかの様に荒川がいた。

俺は全力で走った。

幸いにも荒川との距離は遠かった、それに俺自信中学では陸上部で今も色々な部活に顔を出していたので走りには自信があった。

後ろから何度も爆発音が聞こえて来たが俺の体には当たる事なく、そのまま1棟に続く通路を渡って行き、階段を3段飛ばしで上がっていった。

そして3階まで上りきった瞬間、後ろから今までで一番大きな爆発音が聞こえた、それと同時に目の前にいる人物に気付いた。


++++++++++++中林side…


「園町君!大丈夫か?」


「そんな事よりも早く逃げるぞ。」


と言うと園町君は僕の制服の襟を掴んできた。僕は慌てて


「大丈夫だよ、さっきの爆発で階段が壊れたみたいだから。」


「へ……?」

そう僕が言うと園町君は後ろを振り向いた、そこには見事に壊れた階段と向こう側から荒川が恨めしそうに睨んでいる姿があった。


「た、助かった…。」


そう園町君は言うといきなり倒れた。


「だ、大丈夫?」


「ああ、大丈夫ちょっと腰が抜けただけだ、それよりも保健室ってどこだっけ?」


「それなら良かった…、保健室なら1棟の1階だけど。」


「え…それってやばいぞ、俺そこ通ってここに来たから。」


「大丈夫、反対側だから。」


「そうか、良かった。」



「だけど、荒川が今は近くにいるから遠回りして行こうと思うんだけど…」


「俺は別にそれで良いけど、具体的に何処から行くんだ?」


「まず3棟までこのまま通路を渡って行って3棟で1階まで降りて保健室まで行こう。」


「了解、そうと決まったらさっさと行こう。」

そう言って僕達は歩き出した。


++++++++++++藤原side…


俺はさっきからずっと走っている、理由は保健室に行く為だ、最初の内は歩いて探していたがなかなか見つからず最終的には走って探している。


(藤原は勘違いをしていた、保健室は1棟にあるのだが藤原は2棟だと思い込んでいる。)


「何故だ、何故どこにも保健室が無い………駄目だ、疲れた…ちょっと休憩しよう。」


俺はその場に座り込もうとしたが、どうせなら風のある場所にしようと思い、1棟に続く通路の所まで歩くと座り込んだ。


「はあー………、皆大丈夫かな?」


そう思いふと1棟の方を眺めたら、向こうの階段から降りてくる2人組が見えた。よく見たらそのうちの1人は浅倉さんだった。


俺はちょうどいいと思い声をかけたが、誰かから逃げてでもいるのか2人は此方に気付かなかった。


「まさか………荒川から逃げているのか!!」


そう俺は思うと囮になろうと思い。荒川が来るのを待ったが、荒川が来る様子は無かった。


「………じゃあ何であんなに必死だったんだろう?………とにかく2人を追いかけてみるか。」


そう思い、俺は2人を追いかけるため走りだした。


++++++++++++浅倉side…


私はメールを打った後ずっと机の下に隠れていた。理由は簡単だ、荒川がさっさからずっとこの化学室の前の廊下を行ったり来たりしているからだ。


「早くどこかに行って。」


そう何度も小声で言い続けると、その願いが叶ったのか荒川は2棟の玄関の方へ歩いて行った。


私はドアから顔を出して荒川が戻って来ない事を確認してから廊下に出た。


「えっと…、確か保健室はあの場所だから……」


「晶ちゃん!!」


突然後ろから声が聞こえて私はびっくりしてしまった。


「なんだ裕香(ゆうか)かびっくりした。」


「ごめん…、でも会えて本当に良かった、さっきからずっと歩き回っているのに誰とも会えなくて怖かったから。」


「まあ、会えて良かったよ、私はこれから保健室に向かうけど裕香も来る?」


「勿論行くよ。」


そう言って私達は歩き出した。


暫く歩いてもうすぐ階段にたどり着きそうになった時階段から降りてくる女子がいた。顔は見えなかったが、私達は直ぐにその女子に声をかけた。


「おーい」


そう声をかけると此方に気付いたのかこっちに来ようとした。その時、


「また1人見つけた。」


そう声が聞こえた。

女子が後ろを振り向いた、その瞬間その女子の体が燃え上がった。

悲鳴をあげる事も無くその女子は黒焦げになり階段を落ちていった。

私達は恐怖で足が動かなくなりそうになりながらも、必死で荒川から逃げる為に階段を降りていった。


荒川は追いかけては来なかった。


++++++++++++園町side…


俺達は3棟の2階にいた。

だけど俺達は無言だった。俺達の周りは酷い状態になっていた。白かった壁は赤く染まり、床には黒焦げになった死体がいくつもあった。中には手や足だけしか残っていないものもやその逆もあり、俺達は何度も吐き出した。

2棟へ繋がる通路まで来た時、やっと中林が口を開いた。


「園町君……この事は…」

「分かってるよ、大貴達には言わないよ。」


「そうだよね……、早く行こうか。」


「ああ…」


俺達はまた無言になり1棟まで歩いた。


++++++++++++前原side…


「なかなか皆来ないな…大丈夫かな。」


あれからずっと待っているがまだ誰も来ない。

俺は心配になり保健室から出て少し辺りを見ようとしたとき、


「おーい、前原君。」


と声が聞こえた。

見てみると浅倉さんと杉崎さんがこっちに走って来ていた。


「浅倉さん、良かった!!気をつけて後ろに誰かいる。」


「いるのは裕香だよ。」


「違う、杉崎さんよりももっと後ろの方。」


「え……」


そう言うと浅倉さんは後ろを振り向いた。

杉崎さんよりも大分後ろの方から走って来ている人物がいた。


「逃げるぞ」


そう俺は言って走り出そうとしたとき。


「ちょっと待ってくれー、違うぞ俺は荒川じゃあ無い俺だ。」


「藤原!!藤原なのか、良かった…。」


「浅倉さん達が走っているのが見えたから追いかけて来たんだよ。」


「それなら声をかけてよ。」


と杉崎さんが少し怒ったような口調で言った。


「遠すぎて何度声をかけても聞こえなかったみたいなんだよ。」


「まあ、ちゃんと合流出来たからよしと言うことで。」


「確かにそうだね、それよりも他の皆は?」


その浅倉さんの質問に俺は少し沈んだ声で


「それが……まだなんだ。」


「そっか……」


「大丈夫だよきっと。」


杉崎さんが励ましの言葉をくれたが俺の気持ちは晴れずに


「そうだといいんだけど…。」


と答えた。

暫く沈黙が続いていたが


「おい、あっちの方に見えるの中林と園町ぽいぞ。」


「本当か!!」


そう言って藤原が指した方向を見ると確かに2人組の人影が見えた。


「おーい」


そう浅倉さんが呼ぶと2人は走って此方まで来た。


「良かった、2人とも無事だったんだな。」


「ああ、何とかな…」


何故か彰太の答えは歯切れが悪かったがその事を聞く前に藤原が喋り始めた。


「これで残りは風見と西沢さんだけだな。」


「いや……2人はメールの返信が来ないんだ。」


「え……て事は2人とも……」


「風見君はどうしてか分からないけど、優歌は機械音痴だからメール返せないよ。」


「「「「あ………」」」」


男子が全員忘れていた事を浅倉さんが告げている時、杉崎さんが電話をかけているのが見えた。


++++++++++++杉崎→西沢side…


「あ、優歌?」


「裕香ちゃん、良かった〜今前原君からのメールを返せなくて…、どうやって返信って出来たっけ?」


「その返信はもうしなくていいから、今何処にいるの?」


「今は本館の職員室だよ。」


(本館とは1棟の別名である)


「私や前原君達は隣の保健室にいるから来て。」


「うん、分かった。」


++++++++++++前原side…


杉崎さんの電話が終わってから1分もたたずに西沢さんは保健室まで来た。


「良かったー皆と会えて。」


「本当だよ、心配させて。」


「う……ごめん。」


「てゆうかメール返せないなら電話すれば良かったじゃあないか。」


「あ……そうだった。」


彰太の言葉に俺も


「しまった、そういう方法があったか。」


と後悔した。


「それなら柊にも電話をかけてみるよ。」


そう言って中林が柊に電話をかけたが繋がらなかった。


「どうしたんだろ柊君…。」


西沢さんの不安そうな声に彰太が


「柊は逃げるのが得意だから大丈夫だよ。」

その言葉には俺も同意だったので


「そうだな、電話が繋がらないのは携帯の電源を切っているだけかもしれないし。」


「そうだといいんだけど…」


「とにかくまずは俺達がとうするのかを今は考えよう。」


その藤原が言うと


「確かにそうだな、おかしい事も幾つかあるし。」


「あ、やっぱり園町君も気付いてたんだ。」


と彰太と中林が言った。


「え?おかしい事?」


浅倉さんの疑問に


「例えばこれだけの騒ぎになっているのに何故警察は来ないのか。」


「あ、確かにそうだ。」


「他にも、この学園にいる生徒が殆どいなくなっている事。」


「後、荒川はどうして学園の外には出ていかないのかとか。」


と彰太と中林が答えてくれた。


「そう言えばそうだな、荒川のやつずっと校舎のなかを歩き回っているみたいだし、て事は俺達が学園から外に出れば安全って事か?」


そう俺が言うと


「その可能性はある。」


と彰太は答えた。


「だったら外に出ようよ」


杉崎さんの言葉に全員が頷いた。


「出るなら裏口からがいいんじゃあないかな?」


西沢さんがそう言ったが、中林が


「それは無理だ。」


と言った。


「どうして?」


「僕達が保健室に向かう途中窓から見えたんだけど……荒川のせいかは分からないけど、裏口の前の崖が崩れていて出口が塞がれていたんだ。」


「え、そうだったのか、気付かなかった。」


「それじゃあ正門から出るしか無いって事か?」


「そう言う事になる。」


藤原の質問に中林はそう答えた。


「正門の周りって何もないから見つかりやすいよね。」


そう浅倉さんが言ったので俺は


「そうだな、荒川がどうして炎を出せるかは分からないけど、もし自分の好きな所に出せるなら、見つかったらいかんな。」


俺がそう言うと中林は


「うーん、それだけ危険になると正門から逃げるのは止めた方がいいな、もっと別の方法を探した方が良いよ。」


「でもこの学園は山の上にあるから正門と裏口以外の場所は全部崖だぞ、他にこの学園から出る道は無いよ。」


そう彰太が言った後俺が


「じゃあどうする?」


そう言うと全員が無言になり時間だけが過ぎていった。

もう方法は無いと俺が諦めかけた時、突然


「そうた!!」


と西沢さんが声を出した。いきなり大声を出したのでびっくりしたが、俺は直ぐに冷静になり


「何か方法が見つかったのか?」


と声をかけた。


「うん、この学園だからこそ出来る方法を見つけたの。」


そう言って西沢さんはその方法を話始めた。










第五章 炎と絶望と壊れた日常 了

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