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サンドボックス ガーデン  作者: さんまぐ
第1章 南の「時のタマゴ」
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フィルさんのチカラ。

[5日目]

翌朝トキタマの声で目を覚ます。

起きた僕は身体に違和感と言うか異変を感じた。

休んだのに身体の疲れが抜けないのだ。

これが毒竜の毒か…

この中であれだけガミガミ出来るガミガミさんは体力オバケに違いない。


「お父さん、窓の外、窓の外を見てください!」

そう言うと窓際に飛ぶトキタマ。

僕は窓の外を見て愕然とした。

紫色の霧が立ち込めている。


これが毒霧か?


「おはようキヨロスくん。

よく眠れたかしら?でも疲れは取れないわよね」


フィルさんが壁伝いに歩きながら声をかけてくれた。


「フィルさん、大丈夫ですか!?」

僕は慌ててフィルさんに駆け寄る。

一瞬、普段着と言うより肌着に近い格好のフィルさんに触るのは躊躇してしまったが、倒れられても困るので僕は肩を貸す。

フィルさんの身長は高めで、低すぎず高すぎず、丁度いい高さで僕は肩を貸せて何かちょっと男として恥ずかしかった。


「ありがとう。

この霧は少しすると強い毒性を持ち始めるわ。

そして山から吹く風に乗って三の村を襲うの。


そして、今のキヨロスくんみたいに寝ても休んでも、もちろん食べても疲労が抜けない身体になってしまう。

弱いものから死んでしまうわ」


こんな中に一か月も居れば身体もおかしくなるだろう。


「わかりました。

僕が今すぐに毒竜をやっつけてきます!」


「今はまだダメ」

「なんでですか?」

早く行かないとフィルさんはもう限界だ。

僕ははやる気持ちをフィルさんにぶつけてしまう。


「今外に出ればこの毒を一身に受けてしまう。

そうしたらあっという間に疲労感で身動きが取れなくなってしまう。そしてそのまま死んでしまうわ。だから今はダメ。

キヨロスくん、奥からムラサキさんを連れて来てくれるかしら?」

僕は言われた通りに奥に行く。

今はムラサキさんの顔が浮かび上がっていた。


「おはようキヨロス。もう朝なのですね。そして外には毒の霧。今はまだ普通の紫色ですが、これから徐々に灰色がかった色になり、その後黒がかった紫になります。

黒は一番毒性が強い色。これから戦う際には気をつけてください。そしてもう一つ。もしも体力が足りなくなった時には毒竜のツノを砕いてカケラを飲み込みなさい。あのツノだけが毒竜の毒で弱った身体を癒します」

ムラサキさんが僕に有益な情報をくれた。


「では持ちますね」

「よろしくお願いします」

ムラサキさんは一般的な盾と同じかちょっと重い気がする。

フィルさんは今の体調でムラサキさんを持てるのだろうか?


僕はムラサキさんをフィルさんの所に届ける。

フィルさんの所にはガミガミ爺さんも居た。

ガミガミ爺さんは徹夜で作業をしてくれたみたいだ。

今のフィルさんの姿が痛々しいからか、ガミガミ爺さんは泣きそうな顔をしている。


「フィルさん、ムラサキさんを連れてきましたよ」

「ありがとうキヨロス君」


そう言って僕はムラサキさんをフィルさんに手渡す。

フィルさんは軽々とムラサキさんを持っている。

弱っていても随分と力があるんだな…


「あ、私の事を力持ちって思ったでしょう?

違うのよ。ムラサキさんの能力の一つで、常に重さを感じなくなるのよ」


思っていたことを見透かされて僕はちょっと驚いてしまった。


「キヨロスくん、肩を貸してくれないかしら?」

「はい」


フィルさんは何をするのだろう?

僕は言われた通りに肩を貸す。


「ありがとう。外に一緒に行ってくれる?」

「外に?」

外には行ってはいけないと言われたのに今度は外に行こうと言う。

どういう事だろう?

僕は言われた通りにフィルさんと外に出た。


一面紫色の霧。

酷く幻想的な絵だが、これは毒の霧。人を殺す毒の霧なんだ。


「見ていてね。キヨロスくんに見てもらいたくて頼んだの」

そう言うと、フィルさんはムラサキさん…「紫水晶の盾」を前に構えた。


「私のアーティファクトはS級アーティファクト「紫水晶の盾」。盾として以外の能力は汚れた空気を綺麗な空気に変える事。毒に侵されたものを解毒すること。見ていてね。【アーティファクト】!」


フィルさんの声に反応するように「紫水晶の盾」にムラサキさんの顔が出てきて、思い切り空気を吸い込み始めた。辺りの毒霧を吸い込み始めるると盾の後ろから綺麗な空気が噴出してくるのがわかる。

しばらくすると山の空気は三の村並みに綺麗なものになった。


「これでよし、後は…【アーティファクト】!!」

フィルさんが僕に向けてムラサキさんを向けてきた。

ムラサキさんの目が光ると僕の身体から紫色の霧が噴出してきた。

そしてそれをムラサキさんが吸い込んでしまった。


「身体の調子はどうかしら?」

「え?」

確かに言われてみると疲労感がない。


「疲労感が取れました」

「そう、良かった。ごめんなさい。ちょっと立っていられない…」


そう言うとフィルさんが倒れこんでしまった。

丁度僕の方を向いていて僕に向かって倒れてくる形だったので僕はフィルさんを受け止めた。

フィルさんの体が熱い。

酷い熱だ。


これも毒竜の毒の影響なのか?

僕は急いでフィルさんをベッドに運んだ。

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