表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
13/23

【13話】Bチームのプライド 3

 

 ピイィィ、ピイィィ、ピイィィィィ。


 ()(あい)終了(しゅうりょう)のホイッスルがなった。


 (けっ)()は1―1の(どう)(てん)


 ()(あい)はひきわけにおわった。


「サンキュー。たのしかったぜ」


 陽介(ようすけ)(りゅう)(せい)握手あくしゅをもとめた。


 だが、(りゅう)(せい)()をださなかった。


 そのとき、鳩山(はとやま)監督かんとく雉原(きじはら)監督かんとくがフィールドにはいってきた。


翔真(しょうま)くん、PK戦(ピーケーせん)をしないかい?」


 雉原(きじはら)監督かんとくがいった。


 PK戦(ピーケーせん)とは()(あい)がひきわけでおわったとき、(りょう)チームの(せん)(しゅ)(こう)()にシュートをうち、ゴールをきめた(かず)勝敗(しょうはい)をきめるシュート対決(たいけつ)のことだ。


「すばらしい()(あい)だった。だからこそ勝敗(しょうはい)をはっきりさせたい。そう(おも)わないかい」


「それは……」


 翔真(しょうま)はとまどった。


 公式(こうしき)()(あい)ならともかく、(れん)(しゅう)()(あい)PK戦(ピーケーせん)なんて、したことない。


 鳩山(はとやま)監督かんとく()(くば)せすると、


歌舞伎(かぶき)サッカーは、きみたちのサッカーだ。だから、きみたちがたのしいと(おも)えるようにしていいよ」


 やさしく翔真(しょうま)(かた)()をおいてくれた。


「せっかく観客(かんきゃく)もいるんだ。翔真(しょうま)PK戦(ピーケーせん)をやろうぜ」


 どうやら、陽介(ようすけ)PK戦(ピーケーせん)をしたいようだ。


 するとキーパーの()(くも)が、


PK戦(ピーケーせん)か。すごく緊張(きんちょう)するだろうな」


「じゃあ、やめようか?」


「じょうだん! たしかに緊張(きんちょう)はするだろうけど、それ()(じょう)()()()()のはまちがいないもんね」


 ()(くも)がキーパーグローブをはめなおす。


「ショウちゃん、ぼくもPK戦(ピーケーせん)をやりたい」


「……わかった」


 翔真(しょうま)雉原(きじはら)監督かんとくをふりかえった。


雉原(きじはら)監督かんとくPK戦(ピーケーせん)をやりましょう」


「それじゃあきまりだね。では、さっそく(じゅん)()をはじめよう」


 きゅうきょ、おこなわれることになった3(たい)3のPK戦(ピーケーせん)に、あつまった観客(かんきゃく)たちもおおよろこびだった。



 *   *   *   *   *



 PK戦(ピーケーせん)をするまえに、まずはシュートをうつチームの(じゅん)(ばん)をきめなければいけない。


 これはコイントスで(ビー)チームが先攻(せんこう)中浦(なかうら)FC(エフシー)後攻(こうこう)にきまった。


 そのあと、中浦(なかうら)FC(エフシー)ではキッカーえらびがおこなわれた。


「だれか、けりたいやつはいるか?」


「はいはいはい。おれ、ぜったい、けりたい」


 まっさきに()をあげたのは陽介(ようすけ)だった。


「キャプテン、おれもけりたいっす」


「……おれも」


 5ねんせい燕倉(つばくら)時雨(しぐれ)(うずら)()(らい)()()をあげる。


「よし。それじゃあ、キッカーは、この3(にん)できまりだ」


 3(にん)(はな)しあい、ボールは時雨(しぐれ)(らい)()陽介(ようすけ)(じゅん)(ばん)でけることになった。




「これより、中浦(なかうら)FC(エフシー)市沢(いちざわ)フレスベルグ(ビー)チームのPK戦(ピーケーせん)をはじめます」


 審判(しんぱん)のたからかな宣言(せんげん)


 それが運動場(うんどうじょう)を、ふたたび(たたか)いの()にかえる。




 (ビー)チーム最初(さいしょ)のキッカーはフォワードの()()(なき)シエルだ。


 ペナルティマークにボールをおき、シエルがおおきく(いき)をすう。


 (いき)をのむ観客(かんきゃく)


 いのる(せん)(しゅ)たち。


 そして、おとずれる運命(うんめい)瞬間(しゅんかん)


 ピッ!


 ホイッスルがなり、シエルがボールをける。


 (ひだり)にとんでゆくボール。


 ()をのばす()(くも)


 のばした、その()がボールを――はじけない。


「しゃあ!」


 ゴールをきめて、シエルがガッツポーズをとった。




 つぎは中浦(なかうら)FC(エフシー)がボールをける(ばん)だ。


 キッカーはディフェンダーの時雨(しぐれ)


 ()()ちをおちつかせ、ボールをペナルティマークにおく。


 ピッ!


 ホイッスルがなりひびく。


 時雨(しぐれ)はキーパーが(ひだり)にとぶと()(そく)して、ボールを(みぎ)にけった。


 (けっ)()は――。


「やったー」


 ()(そく)は、みごと的中(てきちゅう)


 ゴールをきめた時雨(しぐれ)が、その()でとびはねた。




 まずは(りょう)チームともシュートに成功(せいこう)


 この()(てん)での(けっ)()は、


 (ビー)チーム  ○


 中浦(なかうら)FC(エフシー) ○


 となった。




 つぎの(ビー)チームのキッカーは()()(なき)エイル。


 シエルの(ふた)()(おとうと)だ。


 ホイッスルがなり、エイルが(きょう)(れつ)なシュートをうった。


 だが、コースがあまかった。


 ()(くも)はひざをおとして、とんでくるボールを(りょう)()ではじいた。


「ナイス、()(くも)


 陽介(ようすけ)がさけぶ。


 ()(くも)もうれしそうに(おや)(ゆび)をたてた。




 中浦(なかうら)FC(エフシー)(ばん)()のキッカーは(らい)()だ。


 (らい)()のシュートは正確(せいかく)にゴールの(みぎ)すみにとんでいった。


 だが、コースをよまれて、キーパーにとめられてしまった。


 この()(てん)での(けっ)()は、


 (ビー)チーム  ○×


 中浦(なかうら)FC(エフシー) ○×


 となった。




 (ビー)チーム(さい)()のキッカーはキャプテンの(とび)()(りゅう)(せい)


 ペナルティマークにボールをおくと、(りゅう)(せい)()(くも)をにらみつけた。


 ――ぜったいにきめてやる。


 そういっているような()つきだった。


 ――そうはさせないよ。


 隈取(くまどり)をした(かお)で、()(くも)(りゅう)(せい)をみかえす。


 ピッ!


 ボールを(ひだり)にける(りゅう)(せい)


 (よこ)にジャンプする()(くも)


 パシィッ。


 グローブにボールがあたる。


 はじきだされたボールがフィールドの(そと)にとんでゆく。


 ()(くも)がシュートをふせいだ!


「くそっ!」


 シュートをはずした(りゅう)(せい)が、くやしまぎれに()(めん)をけった。




 中浦(なかうら)FC(エフシー)(さい)()のキッカーは陽介(ようすけ)だ。


 (せん)(しゅ)監督かんとく(かん)(きゃく)


 みんなの()(せん)陽介(ようすけ)にあつまる。


 ボールをおくと、陽介(ようすけ)はかわいたくちびるをなめた。


 隈取(くまどり)をした(かお)が、うっすらわらっている。


 まるで、プレッシャーをたのしんでいるようだ。


 ピッ!


 陽介(ようすけ)がうつ、きょう一番(いちばん)(きょう)(れつ)なシュート。


 キーパーが(みぎ)にとぶ。


 ボールが(いっ)(ちょく)(せん)にとんでゆく。


 ゴールのどまんなかに!


「ゴール!」


 シュートがきまり、陽介(ようすけ)大声(おおごえ)でさけぶ。


 この瞬間(しゅんかん)


 (ビー)チーム  ○××


 中浦(なかうら)FC(エフシー) ○×○


 で、()(あい)中浦(なかうら)FC(エフシー)(しょう)()となった。




 ワーッという(だい)歓声(かんせい)運動場(うんどうじょう)をつつんだ。


「すごいぞ、陽介(ようすけ)


 中浦(なかうら)(せん)(しゅ)がはしって、陽介(ようすけ)のもとにあつまる。


陽介(ようすけ)、やっぱり、おまえはエースストライカーだ」


 翔真(しょうま)陽介(ようすけ)のうでをとり、太陽(たいよう)にむかって高々(たかだか)とかかげた。



 *   *   *   *   *



 ()(あい)()ってよろこぶ中浦(なかうら)FC(エフシー)(せん)(しゅ)をみて、(はる)()のいらだちはマグマのようにあつい(いか)りへとかわった。


 ――あいつらはサッカーをたのしんでいる。


 ――そして、たのしむことでつよくなっている。


 それが(はる)()にはゆるせなかった。


 (はる)()は、もともと(からだ)のよわいこどもだった。


 けど、サッカーが()きで、1年生(ねんせい)のときから、ずっとプロのサッカー(せん)(しゅ)になることを(ゆめ)みてきた。


 そして(ゆめ)をかなえるために、だれよりもサッカーの練習(れんしゅう)をしてきた。


 つらいときもあった。


 くるしいときもあった。


 サッカーをやめようと(おも)ったことだってある。


 でも、(ゆめ)をかなえたかった。


 翔真(しょうま)との約束(やくそく)をはたしたかった。


 だから、(ひっ)()()(りょく)してきた。


 戦術(せんじゅつ)勉強(べんきょう)


 体力(たいりょく)づくりのランニング。


 (ゆめ)をかなえるために、そのすべてをおこなってきた。


 だからこそ、(はる)()(エー)チームのキャプテンになることができた。


 なのに……。


 なのに、あいつらはサッカーをたのしみながら、つよくなっている。


 くるしむことで(ちから)をつけてきた(はる)()には、それがゆるせなかった。


 ――おれは(ひっ)()()(りょく)して、ここまできたんだ。


 ――たのしむだけで、(ゆめ)がかなえられるわけないだろ。


 (はる)()のこぶしがふるえているのに()づいたのは大鳳(おおとり)監督かんとくだけだった。



(つづく)



更新は毎日おこなう予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ