10. 女王と晩餐(3)〜相互〜
「あなたのように皆から尊敬されるカリスマ性にあふれた素晴らしい女王様には、私の気持ちはわからないでしょうね…何から何まで完敗です…」
アリアは真剣な表情でレカリアの話を聞いていたが、最後の言葉に思わず笑った。
「急に褒めてくるから照れるじゃない。」
アリアは手で頬を押さえて照れるフリをした、ようにレカリアには見えた。
「そうね、こんなこと言っても信じてもらえないだろうけど、私にはあなたが皆から尊敬されるカリスマ性にあふれた素晴らしい隊長、に見えるけど?」
下手なお世辞だなとレカリアは思った。アリアが言葉を続けた。
「あなたは隊員があなたのこと、あなたの判断をどう思っているか気になっているのね。」
レカリアが頷いた。何でもできる女王様なら自分の悩みを解決してくれると彼女は期待した。しかし後に続く言葉は彼女の期待を見事に裏切った。
「残念ながら私はあなたの隊員についてあなた以上には知らないし、そんな私が推測することなんてあなたにとってはきっと無意味よね。」
「そして私は物語の主人公ではないから、一言であなたの悩みを解決してあげる能力もない。」
アリアの言葉は冷淡に聞こえたが、紛れもなく真実であった。レカリアはがっかりした。
「でも。」
アリアが言葉をつなげる。
「私は今日あなたと剣を交え、そして言葉を交えた。それを通して、私はレカリアという人間についてたくさんのことを知った。」
「この一日で私はレカリアを大好きになった。あなたは私にないものをたくさん持っているし、私はあなたを尊敬している。」
アリアはレカリアの目を見て真剣そのものの表情で話している。
「だから、何だっけ?…皆から尊敬されるカリスマ性にあふれた素晴らしい女王様に尊敬されるレカリアは、自分のことを誇りに思ってもいいんじゃない?」
そう言ってアリアはニヤッと笑った。それがレカリアには女神の微笑みに見えた。レカリアには彼女の言葉がお世辞ではなく本心だと思えた。そして、アリアからの嬉しい言葉にレカリアは笑みを返した。すると、レカリアはなんとなく少し気持ちが軽くなったように感じた。笑う門には福がある、のかもしれない。二人はしばらくの間笑顔で見つめあっていた。
この人はやはり物語の主人公だ、レカリアはそう思った。
「ところで。」
突然アリアが口を開いた。
「レカリアはどうして私に決闘を申し込んだの?」
レカリアは頬をさっと赤くした。そして、アリアの目を見ずにぶつぶつと答えた。
「…それは…アリア…と…仲良くなりたくて…でも私不器用だから…」
あまりに可愛らしいレカリアの姿に、アリアはワイングラスを手に取り中身を一気に飲み干すのだった。
二人の信頼関係は、剣と言葉の交わりによって強固なものとなった。どちらか片方だけではなし得なかっただろう。
以上で食事シーンゼロの夕食場面は終わりです。
実はこの場面はレカリア視点でした。




