4秒目は憂鬱で。
空の中央に太陽が昇り切る。自分の体に蓄えた水分が少しずつ自分の体の古い所を取り換えていく。
この時間は退屈だ。ハジメのころは物珍しさもあったものだが、この時間帯は観察できるほど生き物は通りかからない。活動時間から外れてるわけではないだろうが、他の生き物にとってあまりよい場所ではないのだろうか。
この世界から出たことのない私にはまったくわからなかった。ここは巨人と私だけの世界だ。良くも悪くもそれしかなく、私は巨人が雨を降らせなくなれば、何も残すことなく枯れるだけだろう。
私は単体で生きられない。巨人なくして私は生きられないのだ。少なくともこの世界では。
巨人が何を考えているかはわからないが、巨人さえいれば、それでも生きることだけは困らない。毎日雨が降り、しかし日も浴びることができることができて天敵のいないこの空間はむしろ、同胞と比べても恵まれているといっても差し支えないのかもしれない。
だからこそわからない。巨人が私に何かを求めたことはないが、何もない私は巨人にとってのなんなのだろうか。
思考のさなか、生き物とは全く違う音がこの世界に鳴り響くことはある。そこから何かが起こったことはない。巨人がいるときは巨人同士で何かをやり取りしているのがわかるが、巨人の居ない今は音が空しくなった後は再び静寂が訪れる。
巨人にはいささか手狭のようだが、私の世界のはいった大きな世界は巨人が居なければ無限にすら思える巨大さだった。
そしてその巨大な世界こそが私の心を最も空虚にするものだった。