3秒目は寂しくて。
私の土に還る者としての本能が私の自我を糾弾する。当然といえば当然の流れだ。
この季節になってまだ恵みを受け取る側である同胞はいない。少なくとも私の故郷には。
実りをもって恵を与えるものになるのが、大地の理なのだ。
その理を、役割を私は放棄している。私に実りを運ぶ虫たちはこの世界にいない。いや、この世界を出たところですぐ近くに私の同胞がいるとは考えにくかった。
体が記憶している景色とこの世界はあまりに違い過ぎる。巨人の居ない昼間はこの世界と外を隔てる透明な壁から近くを少しだけ見られるが、あまりにも草木の気配が少なすぎた。
水と光はあるから体の維持はできる。役割を終えた体は巨人が切り落としていく。私の体は他の同胞に比べてはるかに老いるのが遅かった。
外に出たことがなく、同胞にあえなくても、自分の体は自分のあるべき形を記憶していた。
昼間は外を眺めて過ごす。私は何もできない。実りを運ぶ虫もいなければ、考えたくもないが私を捕食する鳥や四足歩行の獣もこの壁に阻まれて決して私を害することはできない。
他にも巨人と同類と思わしき生き物もこの透明な壁から見える。自然にはあり得ないような色をした頭髪の巨人や、この世界の主の胸程度の高さしかない、大きさの幼体とでもいうべき巨人。彼らは私に気づくことすらない。
その代償なのか、私は世界を見ることしか許されない。夜にある巨人の恵みと何度かに一度の昼の手入れが唯一他と関わる機会だ。
そしてそれすら巨人の意志にゆだねられたものだった。巨人がこの世界から消えてまだ、それ程の時間もたたない。日が昇り切る前の時間。
同胞が聞いたら正気を疑うだろう。私は朝よりも夜を待ちわびていた。




