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27 修道院のクッキー

 新緑が生き生きと太陽を浴びて、さまざまな花が力強く咲く季節。

 キュストモンクの山に構えられた修道院では、ハチミツ採取が行われていた。

 この時期はワインづくりのためのぶどうも世話をしなければいけないから、昼間の修道士はかなり忙しい。

 彼、彼女たちが疲れを癒やす夜の時間は、とても重要だった。

 この修道院が養蜂を覚えてから、クッキーの発展は目覚ましかった。

 甘いものを口にすると、人は幸福感を覚える。

 ある意味では実験のように、そしてもう一つは迷える子羊を導くために、彼らの研究はじっくりと進められていった。

 ねっとりと照りがあるものを塗られたクッキーを口にして、修道士はそれを出してくれた修道女に訪ねた。


「これは?」

「ハチミツとワインを煮詰めたものです。すこし贅沢でしたか?」

「いや、うまい。しかし肉に使うようなソースがクッキーに合うとはな」

「クッキーもパンのようなものと思ったのです」


 ワインの香りと酸っぱさが加えられたクッキーは華やかだ。

 このソースは、肉料理に使うと臭いが抑えられるし味もつく。

 だから彼は、こういう風にお菓子に使うものとは考えていなかった。

 自分の頭の固さが打ち砕かれた思いで、修道士はもう一つクッキーを食べる。


「そう考えれば、すべての料理のソースはクッキーに使えるのだろうね」

「かもしれません。肉から出た汁や魚の汁を煮詰めたものはわかりませんが」


 そう言って修道女はくすくすと笑った。

 しかし修道士は、クッキーから逆に甘さを抜いて、焼き締めた保存用のパンをやわらかくしたものならどうだろうと考えた。それなら合わないこともないだろう。


「うん、おもしろい。時間がある時に試してみるのもいいだろう」

「ほんとうですか? おいしくなくても食べなければいけないのですよ」

「その時は、失敗話をワインの友にしよう」


 修道士はカラカラと笑う。

 後日、修道院のクッキーとしていくつかの味が伝えられた。

 その中には、塩とハーブで味付けした保存食のようなものも含まれていた。

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