2-10 ミスティアナNo確認
広がるのは、無限に続くと思えるような銀河。
此処は、デーウルスに借りている館の地下室…をヨルが改造した空間。
「これ、何とかなりません?目が痛くなります」
「初期設定がこれだからのう。ある程度は自由に変えられるが、注文はあるか?」
「そうですね……広い闘技場で良いです。シンプルな方が集中できるので」
「分かったのじゃ」
テレビのチャンネルが切り替わるかのように、一瞬にして銀河から殺風景な闘技場に景色が変化した。
「これも蛇王蛇法でやってるんですよね?」
「そうじゃな、これは範囲指定が難しいからのう。教えるのはもう少し先じゃな」
「仕方ありません、今日は我慢します。そもそも今日のメインは一応僕じゃありませんから」
いつものドレスではなく、紺色のパーカーにショートパンツという格好のヨルから、色が違うだけでほぼほぼ自身と同じ格好をしているミスティアナへと視線を向ける。
ミスティアナの服に関してだが、普段着はライトが大量に買ってきた服を着ることにして、戦闘用は、ヨルのお手製の服(ライトと完全同型の色違い)を着ることになった。尚、着替え作業は全てライトがやる模様。
その理由としては、ヨルが作った服以上の性能の服装は現代には存在しないという結論に達したからだ。チートの塊には、現代技術では勝つことが不可能らしい。
「ミスティアナさん、準備出来ました」
「準備完了です。マスター」
表情には出ていないが、何となくミスティアナからやる気が溢れているように見える。
「では、始めるとするかのう。先ずは――」
「――ミスティアナさんに合う武器種の確認ですね」
「そうじゃな。まあ我もう、ミスティのスキル確認しとるから分かってるが」
「何でそう面白みのないことをしちゃうんですか」
「別にそこに楽しめる様な要素無いと思うんじゃが……それにギルドカードで既に確認できるしのう」
「はぁ、分かってませんね。天下の蛇王様は武器選びの良さも理解できないようです」
途轍もない武器好き、ライトはヨルを煽り散らかす。この男、武器のことになると色々と酷くなるようだ。
こんなことをしようとしている経緯については、昨日のソヨからの提案が発端である。前話の後を説明すると、ミスティアナについて冒険者になることは特に問題は無く、実際にその場でヒュープにFランクのギルドカードを発行してもらった。
その後に、提案されたものが今日の修行を決定づけた。ミスティアナがライトの所有b…ひt…天羅ということで、特別な対応をしてくれることになったのだ。
簡単に言うと、ソヨが直接ミスティアナと模擬戦をして、対応したランクまで上げてくれるというので、これのお蔭でミスティアナのランク上げの時間が短縮されるという訳だ。
一緒にライトのランクを上げる試験もしてくれるらしい。と、言うことで修行しようということになった感じ。
「武器のことになると、お主は本当に凄いな。我も逆に感心してしまいそうじゃ」
「それほどでも……ふざけるのは此処までにして、本当に始めましょうか」
「ふざけてる自覚はあったんじゃな」
「当然です」
―――取出・巳蚓魑
刹那、九つの武器がライトとミスティアナの間に現れ、空中で静止する。
「僕から見て右から――
『乱流刀 荒霧』
『核熱剣 リアニューク』
『魂喰剣 ソウルイーター』
『剥奪槍 ディグレストーン』
『氷封鎚 ニフルゲイト』
『戦列杖 ドレッドノート』
『反逆書 レボルシオン』
『冥禍鎌 ぺルセネア』
『堕落銃 アザエル』
――改めて見ても多すぎません?一つは僕が買ったとしても、どんだけ集めてるんですか。神々が創り出した武器なのに、結構というか本当に稀少な筈なんですけど」
「我に挑んでくる者は多かったからのう、勝手に集まったのじゃよ」
浮いている武器、それらは全て神器なのだ。ライトは、呆れた顔でヨルを見るが、素知らぬ顔で流された。
いや、あり過ぎなって話だよね。神器って様々作品で、強力なレア武器として扱われてるのに、ポンポンと出して、本当に良くない……けどまあヨルなので仕方ない。
「じゃあミスティアナさん、最初は荒霧を使って斬りかかって下さい。何かを気にする必要は全くありません、全て僕が許可していることですから」
「マスターの仰せのままに」
ミスティアナが武器を手に取る間に、ライトは巳蚓魑から取り出したイグニティを構えておく。
灰色の鞘から、真っ白な互の目の刃が…乱流刀が抜き放たれる。彼女は、正眼の構えを取り、意識を彼へと集中させている。
「行きます――」
(――真っ直ぐ来そうですね)
「――……ッ!!」
微かに聞こえた息を吐く音と共に、一瞬にして距離が詰められ、
―――上級刀剣術:果断・雲耀
雷の如き刃が振り下ろされる。
「――ァブナイッ!?」
ライトは間一髪でイグニティを使い、その刃を無理矢理に弾き上げた。
乱流刀がミスティアナの手から飛ばされ、闘技場の床へと突き刺さる。
「ライト、油断しすぎじゃ。ミスティは、基礎能力がお主より高いし、才能も正直に言えばミスティの方があるぞ。経験の差と反射速度で対応できたが、今のが超級以上の技じゃったら確実に喰らっていたぞ」
「ハアッ、ハアッ……ヨルの言う通りです。気を抜きすぎていました」
「大丈夫ですか?マスター」
「ふぅ、ミスティアナさんが気にする必要はありません。僕の不注意ですから、次に行きましょう」
ヨルから注意が飛び、ライトは自分の甘さを自覚し戒める。無意識に、ミスティアナを自身より下と見ていたということが、大きな油断の原因となっていた。
ライトは、そこら辺は即座に切り替えて修正出来るタイプ、彼女の強さを一気に引き上げる。
3mくらい距離を1秒も掛からず縮めて目の前に迫る攻撃を、反射神経だけで弾けるのって十分化け物なんだけどね。
ライトが反省している間に、ミスティアナは濁った青色の柄で青緑色の刃を持つ剣…核熱剣を、先程とは違い自然体で構えた。
「では、マスター……行きます」
(リアニュークは、長剣ですし荒霧より重い……弾けますかね)
「……《死熱》――」
「――ん!?」
ミスティアナの口から紡がれた言葉と共に、核熱剣の刃が紅く輝き出す。刃の周囲の空気が揺らぎ、光を捻じ曲げる。
ライトの本能が一瞬にして警鐘を鳴らし、単純に防ぐと死ぬとガンガン訴える。ライトは自身の血の気が引くのを自覚した。
「それ不味――「《アトミックバースト》」――」
核熱剣に込められた力が解放され、視界を紅い閃光が覆う。
大抵を燃やし、消し飛ばす熱が襲い掛かる。
《黒剛彩王-虚の理-偽詐術策-聡明》
―――上級時空魔法:カウンターテレポート
ライトは、受けるのを止めた。転移でミスティアナの背後に回り、事なきを得た。
大きく息を吐きながら闘技場の床に伏す。
「あぶなすぎます……しぬとこでした……」
「男なら女の攻撃くらい正面から受けんか」
「いや無理でしょ!!丸焦げどころか灰すら残さず死にますよアレ!!!」
ヨルの無茶な文句を、真っ向から全力でライトは否定した。実際に今のライトが受けていたら、言葉通りの結果になっていただろう。
普通に斬りかかって来ると思っていたのに、あんなのを放たれるなんて、可愛そうにも程がある。
床に倒れながら、生を実感している。そんなライトの下に、変わらず無表情のミスティアナが戻って来た。
身体に直に伝わる振動で、ライトはミスティアナに気付き、そちらを見てあることを思う。
「……あれ?というかそもそも何で、ミスティアナさんはリアニュークの使い方が分かったんですか?」
神器には、当然説明書なんて付属していないので、使い方は模索するしかない。初めて触れる神器の使い方など分かる筈が無いのだ。
「申し訳ありませんマスター、ヨル様が念話で使い方を指導するからやれと……」
「――ヨォルゥ!!!」
「――ミスティッ!?言わないと約束したではないかっ!?」
ミスティアナからの暴露を受け、ライトの怒りが爆発し、ヨルが焦り出す。
この蛇、失敗しているが裏工作までしていたのである。見たことがある?同じ失敗を未来でも?知らないねぇ?
「口止めまでしてるとか、本当に姑息な王様ですね!!」
「まっ、待てライト、話せば分かるっ」
「嫌ですよ、こんな駄王にはお仕置きが必要ですからね」
「――そ、そんな"良い"笑顔を浮かべて我に近付くのは、やっ止めて――」
「――問答無用ッ!!」
その後には何があったのだろうか?まあ、私の知る所ではない。にしてもこの師弟夫婦、上下関係が曖昧だよね。
結論、余計なことをする奴は痛い目を見る。皆様もお気を付けを。
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次の投稿は11/14(月)です。
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◆技解説
スキル技録
上級刀剣術:果断・雲耀 自身を身体能力に応じて加速させ上段からの振り下ろしを放つ 調節可能
◆蛇足
語り部「蛇王、何されたんだろうなぁ……チラ」
蛇の王「言わぬぞ、言わぬからな?語り部よ」
語り部「えぇ~?まあ仕方ない、にしても神器多すぎじゃないか?」
蛇の王「まあ、我じゃし」
語り部「公式チート様は本当に何でもありだよな」
蛇の王「そんな我に毎度ボコボコにされて普通にしているお主も大概じゃがな」
語り部「ギャグ補正あるから当然といえば当然だけどな」
蛇の王「何時の間にお主ギャグ担当になったんじゃ?」
語り部「ん?最初からだろ」
蛇の王「え?」
語り部「え?」




