1-9 ギルドマスター ソヨ・ラビットニア
降り立った影が、一瞬にしてライトの眼前に迫り、
「――ハッ!!」
《不動之王-空烈神腕-体術:神級-神速-不倶戴天-魔浸透拳-隔絶-王波》
―――超級体術・変異:破天翔拳・空絶顎
その眩い拳を振るう。
ライトは、ギリギリ両手で持った杖で受けるが、
「グッ!?」
凄まじい衝撃に耐えきれずに、吹き飛ばされた。
そして、追撃をするように黄色の魔力の塊、が飛来する。
―――喰らい尽くせ風蛇ッ!!!
杖から溢れ出した螺旋を巻く風が、魔力の塊を捻り潰すように消す。
何故風かと言うと、魔力の色が黄色、つまりは地属性だったからである。
<――ライトッ!警戒を怠るな!下手をすれば……死ぬぞ>
「了解ッ……」
ヨルの言葉を受けて、ライトは元々高かった警戒のレベルと限界まで引き上げた。
鳴り止まない本能からの警鐘を黙らし、思考を落ち着かせようと試みる。
しかし、熱に溶かされたように思考は纏まらず、心臓の鼓動が間隔短く響くのみ。
そんな中、ライトは降り立った影を注視する。
「いやぁ~受け止められるとも防がれるとも思ってなかったよ!君、やるね!」
「お褒めに預かり光栄ですね……」
「ありゃ?結構凄いことで、かなり褒めてるのに反応が薄いなぁ~」
黄緑色の短髪、トパーズのような黄色の瞳に幼げな顔。
光沢のある緑、玉虫色とでも言えばいい感じの緑色の傷一つない綺麗な四肢を晒す軽装。
特徴は、小柄なその身体に似合わぬ大きな胸とピンと上に伸びたフサフサの兎耳。
色々と性癖に刺さりそうな属性を詰め込んだ彼女に対し、ライトは興奮のこの字も覚えず只管に警戒する。
「まぁ、理由は分かってるんだけど――ねっ!」
《不動之王-空烈神腕-体術:神級-神速-不倶戴天-魔浸透拳-密接-絶波》
―――超級体術・変異:流麗転脚・矛装鵜
「――ガハッ」
(速過ぎるっ!?攻撃に反応できないっ……どうすれば……)
目に追えない速度の蹴りがライトを襲い、訓練場の舞台の壁に吹き飛ばす。
動きがあまりに速く、反応が一切できないライトは、思考を働かせ続ける。
―――隔て防ぐ――「じゃあ、お休み」――ろっ……」
術を唱える最中に、神速の拳がライトを捉え、その意識を刈り取った。
◆◇◆
迷浪運河亭のベットよりか、幾らか硬いベッドの感触と共にライトは、目が覚めた。
初めに視界に映るのは、白い今まで見たことのない天井。
覚めきっていない思考の中、ゆっくりと身体を起こすライト。
「ん?起き――」
―――取出・巳蚓魑
それは、反射だった。
右側から掛けられた声を即座に脳内で検索・合致させ、イグニティを右手に取り出し、音源へと振り下ろしたのである。
「ちょ!?痛いよっ!?」
「――貴方はっ!?」
意識が覚醒したライトは、無意識に敵だと判断した兎少女を視認する。
その瞬間、
―――増え爆ぜ――<待てライト!>――ヨルッ!?」
術を使い、攻撃しようとした。
しかし、それにヨルが待ったを掛けた。
(何でですかヨル!この人は、僕をっ)
<確かに、攻撃する理由は分からんでもない。だが、我らは獣では無いのだ。しっかり状況を見て、攻撃するか決めればいい。この女が知性無き獣で、理由もなく今も敵意を向けて来ているのなら良いが、今の女はそうではないように、我の目には映るぞ?それに、手荒ではあったがお主を殺してもおらぬし、今も攻撃もせず、ベットに移動させてくれているだろう?>
「……分かりましたよ……」
少々納得は行っていないが、ライトはヨルの言葉を受け、イグニティを巳蚓魑に収納した。
そして、
―――盗み見る探蛇
静かに術を唱える。
人は、信用できない相手に対して、優位に立つ為に情報を得ようとする傾向にあるらしい。
このライトの行動も、それに漏れないものなのだろう。
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名前-ソヨ・◇ビッ◇ニア 性◇□女 年□-Err□r
種□-神獣□◇ □ョブ-不□王◇ギル◇マスタ□
レ□ル-◇□◇□◇ ラン□□GM,fo◇me□=U
称号◇『□動王□
ス□ル-不◇之□□空烈◇腕,不□戴◇,魔◇透拳
□体術□□級,地◇法:□級,房◇術◇神□
-神◇◇王□,□静,□絶,密◇―――
□護-神□の守◇,獣◇の寵□
状◇-□常,□◇・人
■=======================■
いつもとは違い、所々正常に表示できず見ることが出来ないウィンドウがライトの目の前に現れる。
それに困惑しながらも、何とかライトは情報を読み取った。
「ギルド、マスター……それに神獣ッ!?」
「――そうだよ!ギルド協会・人界アウトライル王国・ラビル支部のギルドマスター!で、神獣のソヨ・ラビットニアちゃんだよ!!」
「…………」
突然、声を上げて立ち上がり、両手を頭の上まで移動させて、本物の兎耳があるにもかかわらず兎耳のような形にして、ぴょこぴょこと手を動かす兎少女……ソヨ。
然も手の動きに合わせて、本物の方の兎耳も動いている。
ライトは、そのそこそこの奇行に対して反応できなかった。
「あ、あれ?トアから君はこういうのが好きだって聞いたんだけど……」
「ん?トアさん?」
未だに奇行姿勢のままのソヨの口から出てきた知り合いの名前に反応するライト。
「そう、ハジノス支部の副ギルドマスターのトア。トアとは昔からの親友で、今でも結構な頻度で手紙のやり取りしてるんだけど~、それに君、ライちゃんのことも書いてあってさ。兎がだから、兎っぽいことしてあげたら、何でもしてくれるかもって」
「まあ確かに、兎は好きですけど……別に、何か特別にする必要は無いですよ。というか、それにしても突然やるのはただの奇行です」
ライトはかなりの兎好きである。
お金が無い時でも、出来の良い兎のぬいぐるみを見つけると買ってしまったり、兎系の魔物だと一瞬手が鈍る程に好きだ。
同じように兎獣人も大好きであり、兎獣人であれば一時的に人間不信も解消される、ソヨもそれのお蔭で今普通に話せている。
因みにだが、緑円亭時代は部屋を借りていた(今の迷浪運河亭もそうだが)上に、巳蚓魑も無かった為、買った兎のぬいぐるみはシアにあげていた。
そのせいでシアの部屋が兎だらけなのを、ライトは知らない。
「え?お?……そっかぁ……」
「あの、や……何かすみません」
ライトの言葉を聞いて、耳を垂らしてしゅんとするソヨに、ライトは困る。
ソヨの中の兎要素がライトの心を揺さぶる。
「別にいいよ!ちょっと私が間違っただけだからね!」
(……何というか、高低差が激しい人だなぁ)
「おっとと、忘れてた。話さなきゃいけないことがあるんだった」
「話さなきゃいけないこと?」
ライトは、ソヨの切り替えの早さに驚きながらも、ソヨの話を聞くことにした。
さっきまでとは、打って変わって真剣な表情になるソヨ。
「私が、君を気絶させたのには、しっかりと訳があってね?」
「まあ、そうでしょうね」
「その理由は、君とグレンダちゃんが訓練場の結界機能を作動させずに訓練場を使ったから」
「結界機能?」
ライトは、首を傾げた。
ギルドの一般知識ではあるが、まあこれに関しては仕方ないと言ってもいい。
「知らないの?」
「全然知りませんね、僕訓練場使ってなっかったので」
「ああ、そういうこと。機能の説明は、使う時になったらされるから、使わなかったらされないもんね。それじゃあ、今回は仕方ないってことにしてあげようかな」
「ん?どういうこと何ですか?」
ソヨは、一人で納得して頷いている。
どういう話の流れなのか、ライトは理解できない。
「結界機能ってのは、訓練場の舞台を覆う結界を張る機能で、結界には蘇生だったり、内部の時間の巻き戻しだったりの効果があってね?訓練後と前の状態を全く同じにできるんだよね」
「そんな機能があるんですか……それがどうしたんですか?」
「君とグレンダちゃん、訓練場ハチャメチャにぶち壊したよね?」
「……ふぅー、成程ぉ……」
ライトは、ソヨが何を言わんとしているか理解出来てしまった。
つまりは本来機能で元に戻るものたちが、機能が使用されなかった為に、全て普通に壊された、そして壊したのは他ならぬライトであり、責任があるということだ。
そうなると、当然弁償が必要だろう。
「弁償……でしょうか……」
「それなんだけど。君は結界機能について知らなかったから、今回に限り責任免除ってことにしてあげる。次は無いから気を付けてね?」
「はいっ!分かりました!」
「うん、良い子だね」
「…………」
(この感じ、トアさんと一緒だ)
柔らかい笑みを浮かべて頭を撫でてくるソヨに、ライトはトアを思い出す。
親友だけあって、少し似ているようだ。
「あ、そうそう。これ、あげるよ」
「これは?」
「『大迷宮』の情報の最新版、まだ一般に出してない特別な奴だよ」
そんなことを言いながら、ソヨが冊子を渡してきた。
その冊子を受け取り、ライトはパラパラと読んでみる。
「凄いですね……出てくる魔物の種類に場所、環境の変化、それぞれの階層について、事細かに書いてあります。いいんですか?」
「いいよ~トアから君のこと頼まれてるし、何か困ったことあれば、私の所に来て良いからね」
「ありがとうございます……あっ、僕の方からもこれが」
自分のことを気にかけてくれるトアとソヨの優しさに触れ、自然と頬が緩むライト。
だったが、忘れていたことを思い出し、巳蚓魑から一通の手紙を取り出し、ソヨに手渡す。
「これは……トアからの手紙だね」
「ハジノスを出る前に、トアさんから貰いまして、ラビルのギルドマスターに渡してくれって言われてたんです。確かに渡しましたよ」
この手紙、ハジノス旅立ちの前日のパーティで、トアから渡されていた手紙である(描写無いよ)。
「それと……一つお願いがあるんですけど……」
「ん?何?」
「その……耳を触らせて頂ければと……」
「ふ~ん?」
やることを終えたライトは欲望を口にした。
実は、ソヨの反応に合わせて兎耳がそれは元気に動いており、兎好きのライトの心を揺さぶり続けていた。
もう限界になったライトは、失礼と思いながらもソヨに頼んだ。
それに対してソヨは、
「良いよ、幾らでも!代わりに君の髪も触らせてね、サラサラで気持ちよそうだし」
「交渉成立です……では……」
その後、ライトは至福の時を過ごした。
◆読者の皆様へ
どうも、投稿再開します。
これからは毎回次の投稿日を入れる感じにしていきます。
今後ともよろしくお願いいたします。
◆投稿
次の投稿は、8/24(水)です。
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◆技解説
蛇王蛇法技録
喰らい尽くせ風蛇 起点から渦を巻く風を発生させ対象を捻り潰す
盗み見る探蛇 対象のステータスを見る スキル-隠蔽または同効果の魔道具の影響をある程度貫通する
スキル技録
超級体術・変異:破天翔拳・空絶顎 生身で受けると内側から破壊される拳で殴る 追撃で好きな属性の魔力塊を放つ 耐性貫通・思考阻害あり 籠める魔力に応じて魔力塊の大きさ・飛距離変動
超級体術・変異:流麗転脚・矛装鵜 急加速から流れる様な蹴りを放つ 防御無視・攻撃時時間加速あり 受けると身体能力低下
◆蛇足
語り部「なあ、体術と武術の違いってなんだ?」
蛇の王「この物語で体術は体を武器とする戦闘術、武術は全ての戦闘術を纏めたものだ」
語り部「なら、武術スキルさえ持っていれば他の、剣術とかの技も使えるのか?」
蛇の王「そうなるな。例えば、スキル-武術:超級を持っていれば、剣術:超級や弓術:超級なそ、それ以下の技も全て使える」
語り部(コイツ確か、武術・蛇道:神級持ってたよな)「このチートめ」
蛇の王「何を今更、我は何時でもチートじゃ!最強じゃ!」




