師匠
彼…戸山来翔は高校を卒業して正社員として雇われた。
師匠は今まで一人で店を切り盛りしており定期検査をなかなか受けることはなかった。そんな彼は病院で検査を受けることとなった。別段、異状は無いのだが、健康診断である。
「よし!今日は師匠が病院に行って初めての人間ドック受けるんだ。だから、俺一人で店を切り盛りしてやるぜ!」来翔は自分に喝をいれた。師匠がいなくとも、この店を継いでくれと言われた限り頑張って店をやっていくしかない。
将来、洋風軒は俺のものとなる。だから、店主として恥ずかしくないような店にしていかなければならないと強く思った。
その為の修行の一環として、今日の営業を頑張っていく。
今日のメニューは三種類
自慢のとんかつ定食¥900
薫製豚肉のとんかつ定食¥950
ミルフィーユカツSCC定食¥980
今日のメニューは師匠が決めたわけではなく、来翔自身が決めたメニューである。彼が出会って驚いた、豚の薫製をとんかつにしてしまう料理と元祖洋風軒のとんかつを客に食べてもらおうと思った。
大きな豚肉が運ばれてきて、肉を切る。
日本の畜産業はTPP加入後に衰退すると思われたが、その方向性を変え生き残った。海外の畜産家に日本のブランド牛の種牛を貸して、そこから収入を得るようになったのだ。
勿論、日本で作られたものは、本所物と呼ばれ、それはそれは高級なものとされた。
畜産家は他の産業にも手を出し、第六次産業従事者と呼ばれるようになった。言い換えると、第一次産業は勿論、第二次、第三次にも手を出す者のことである。
「今日の肉は、アメリカ産琉香豚か。日米友好の架け橋だな。」来翔はそう呟きながら、その肉を切る。
そして開店となった。
「いやぁ、来翔君。一人で大変じゃろうが頑張ってくれ。おじさん、応援しとるからのぉ。」常連の客が彼に言った。
実はこの人は凄い方であるのだ。日本経済振興党の支部長である政治家なのだ。脇坂輝博という名前であるが、中国名の李輝という名前で知られている。本人は決して華僑でも何でもないのだが。
「有り難うございます。李さん。今日も一日頑張ります。」来翔は彼に礼をする。
「俺も若いときはプロレスしかやっとらんかったからのぉ。そして中華料理屋を開業したが、料理は駄目やった。それにしてもここのとんかつは最高だよ。というわけで、薫製豚肉のとんかつ定食宜しく。」脇坂は笑っていた。
「はい。分かりました。」彼は作り始める。
今回も更新しました。多分20話完結かなと思いますがまぁ、宜しくお願い致します。
SCC→スモークドチェリーチップ




