(下)ある男
更新が遅くなりました。すいません。
一応完結になります。
目線は男性視点です。
201〇年、男は日本に住んでいる。そして所謂オタクと言う部類の人間である。いつもの様に好きなキャラの出てくる本を買いにいき、ニコニコと帰路に着いた矢先である。突然目の前が青くなった。びっくりして持っていた本を落とすと、本が沈む。どうやら海の様である。
「って、ちょっと待てー。俺の嫁ー」
と叫んで、沖に向かって急ぎ、本を探す。だが、海に引き込まれってしまったものは簡単には見つからない。マジかぁ、せっかく買ったのに、てか、何処だよ、ここ?なんなの?と落ち込みながら浜辺へと向かう。すると、そこには女が先程落とした本を持っていた。
「俺の嫁、そこにいた。」
どうやら、波の流れで岸にたどり着いていたようだ。持ち主を見るとゴシック系の服装をした女で、
「可愛い。」
ふと言葉に出していた。
「いきなり唐突に何を言うんですか。」
女は顔を赤らめながら言ってきた。とても可愛いいが、それより俺の嫁だ。
「お姉さん、その本自分のなんです。あと、ここってどこですかね?」
ついで感覚で聞いてみる。
「〇〇街ですが。」
「聞いたことがない。」
地理は苦手だけど、ヨーロッパ系の服装をしているし、ある程度知っているとは思うけどなぁ。だめもとで言ってみよう。
「見知らぬ土地に来て困っているですが、助けてもらえませんかね?」
「構いませんけど。」
思いの外あっさりでびっくりした。
「有難うございます。」
そのまま、女について行くと、
「ここが、うちになります。」
家まで招いてくれるのかと驚くとともに、
「大きい家ですね。」
と言葉に出てしまうくらい。立派で古風な家だった。
「そんなことはないですわよ。」
これが普通なのか?と疑問に思いながら、談話室に招き入れられ、お茶を出される。
「有難うございます。」
お礼を言った後、
「早速なのですが、質問させて貰ってもいいですかね?」
疑問解決に励む事にした。
「構いませんけど。」
「私は、違うところから来たんですけど、戻る方法ってありますかね?」
とりあえず、ストレートに。
「来た道を戻れば良いのでは?」
「いつの間にか、ここに着いてまして、どうやってここまで来たのかの記憶がないんです。」
先程の状況を説明してみる。
「それは大変ですね。戻る手立てが見つかるまでうちで過ごされますか?」
「助かります。有難うございます。有難うございます。」
本当に親切な女だった。疑問解決は全くしてないが、今はそんな事はどうでもよくなっていた。
「別に構いませんよ。服は父のものしかありませんが。」
「何から何まで、有難うございます。」
服まで貸してくれるのか、本当に至れり尽くせりだなぁと思う。だが、この世界の右も左もよく分からない状態なので言葉に甘えて生活させてもらうことにした。
生活が始まるとやはり困ることが多く、例えるなら中世のものと似ていた。しかし、今まで日本で生活してきた自分にはそんな知識はあるはずもなく、ものすごく迷惑をかけてしまい、その度に
「すいませんでした。次から気をつけます。」
と謝るが、女にとっては面倒ではあるようで、その度に怪訝な顔をされるので本当に申し訳ないし、ただの建前で自分に親切にしてくれるだけで嫌われているのだろうなと思った。それでなくても、オタクである自分はあまり女性と関わるようなことはなかったし、関わった際も、怪訝な顔をされて避けられるため、女性に耐性はなく、むしろ自分は女性に避けられて当然の人間という認識であったため、一緒に生活することになってから、手が女に当たるなどのことが起きると申し訳なく、
「すいません。」
とただ謝ることしかできなかった。その後女のおかげで、ここの生活や状況が理解できると、全く元の世界へ帰る情報がないことがわかり、もっと情報を集めるためには、大きな街へと出なければいけないことが嫌というほど身にしみた。これ以上女に迷惑をかけ続けるのも憚れるということもあって、自分は旅に出ることにした。そのことを女に伝え、準備を進め、旅立つ日を迎えた。
「今迄、本当にお世話になりました。有難うございました。」
女に迷惑をかけ続けていたことはやはり申し訳なく、また感謝するほかなかったためそういった。
「貴女も体に気を付けて、いつまでもお元気で。」
本当によくできた人だなと思う。こんな自分にそこまで気を使ってくれてと思う。すると、
「貴方のお持ちになっていた本を頂いてもよろしくて?」
と言われた。あれだけ、衣食住をお世話になったのに1000円ほどの価値もないものでいいのかと思いつつ、
「あれだけ、お世話になりましたので、構いません。しかし、読めない本でいいんですか?」
と尋ねると、
「構いません。」
と言われるため、本を渡すと女は胸に抱き締める様に持つ。そんなにいいものではないがいいのかと疑問に感じながら、
「では、失礼します。」
と別れを告げ、旅へと出発した。
結論から言うと、大きな街で得られた情報は皆無だった。しかも、女の様に自分に優しくしてくれる人はおらず、あまり話すのが得意ではない自分にとって、かなり辛い生活であったため、
「あの女のところに戻ってお世話になろうかな、恩返しも兼ねて家事などを手伝うのもいいし。」
と独り言をつぶやく様になった。
読んでいただきありがとうございました。
現在、構想の元、違う作品を製作中です。ある程度確定いたしましたら、順次公開していこうかなと思っています。
今後もよろしくお願いします。m(_ _)m




