-夢-
私は、長い長い夢を見た。それは、私がもつ「夢見」の能力による、遠い未来の光景。
この能力は、確定した未来を予言するものでは無い。このまま何も行動を起こさなければこの通りになるし、先んじて対策を行えばある程度回避できるという、まあ占い程度のものでしかない。ものによっては、回避できない場合もあるけれど、そちらは希有な方。
また、普段はこれを見るようなことは殆ど無い。例外というものは勿論あるが、偶発的に見られるその夢は断片的で意味を成していない場合がほとんどである。現実で実際に起こって、ああ、これは夢に見ていた光景、正夢だった、と感じる程度の、本当に些細な未来視だ。
だが昨夜見た夢は、断片的でありながらも意味を成していた。
その夢の行く先には、沢山の人たちが現れた。名前も声も分からない、実に多くの人たち。いつもよりも更に、長期にわたる夢だった。内容は薄く広げられ、僅かな断片すら記憶からすり抜けていく。ここまで漠然として、しかも長い長い期間を暗示したものは、生まれて初めてだった。
それらを見終わったとき、私は目覚める。そして涙を拭いながら、体を起こした。
そう、私は夢見がもたらした映像に感情が追いつかず、現実に戻っても涙を流していた。嬉しさ、怒り、悲しみ、楽しさ。いろんな感情が押し寄せ、どんな感情で涙したのかすら解らない。
確かめたい―――
私は、強く、そう願った。




