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 こうして二人の、森の中での二回目の追いかけっこが始まった。

 星は自分の状況を理解することに、数秒の時間をようした。(つまり本気の海に対して数秒の遅れをとった、ということだ)

「澄くん! 荷物お願い!」星はそう言うと肩にかけていた真っ白なボストンバックを澄くんに向かって放り投げた。

「う、うん。わかった!」

 澄くんはその荷物をしっかりとキャッチする。(突然の行動だというのに、澄くんに慌てた様子はあまりなかった。どうやら澄くんはいつの間にか、もうすっかりと星の性格や行動に慣れてしまっているようだった)

 運の良いことに星のいる場所は、海たちのいる場所まで、なだらかな下り坂のような地形になっていた。

 星はそのまま(その坂で)加速をつけて、雪の上を全速力で走り始めた。

 雪の上を全速力で走ったことはないが、石だらけの夜の河原や、雨の降る森の中を走ったことで、星は悪路に対して、それなりの耐性のようなものを身につけていた。(そのせいで本気で走り出してからは、結構スムーズに最高速まで速度を出すことができた)

 星はさっきまで海がいた場所を風のように通り抜けた。

 そのすぐ脇の暗い森のところには、天まで届くような大きな一本の木の幹に背中を預けるようにして、星をじっと見ている一人の中等部の(その少女の着ている制服は、星たちの学院の中等部の制服だった)髪をポニーテールにした少女がいた。

 少女はじっと星を見ていた。

 星はその少女の姿をちらりと確認しただけで、そのまま海のあとを追いかけた。

 しかし、すでに海の背中はとても遠いところにあった。

 さすがは海だ。……速い。それに遠慮がまったくない。

 星はなんだか、自分が学院の校庭のトラックで、海と一緒に毎日、陸上部で競争していたころの記憶を思い出してとても嬉しくなった。

 その思い出が、(嬉しいという感情が、熱が)星の体に力を与えた。

 星はさらに加速した。

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