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 それからもう一度澄くんを見た。

 二人はお互いの肩と腕が触れ合うくらいに接近して歩いていた。

 澄くんは深緑色のリュックサックにぶら下げている黒いカンテラを硯とは逆の方向に下げていたし、星は自分の真っ白なボストンバックを澄くんとは反対の方向に肩から下げている。

 だから二人の間に邪魔をする荷物はなくて、(青猫はいるけど)星と澄くんはお互いの肩と腕が少し触れるくらいの距離まで接近することができた。

 星はそれでも澄くんと体が直接触れ合わないように気をつけていたのだけど、でもだからといって澄くんと少し離れた場所を歩くつもりもないようだった。それは、澄くんも同様だった。

 青猫は星の歩いている場所とは反対側の澄くんの肩の上にいた。

 まだ少し怖かったけど、澄くんとこうして並んで歩けるくらいには、星は青猫の存在が我慢できるようになっていた。

 でも、それはもしかしたら、青猫の首輪につながっているリードのおかげなのかもしれない。

 星は少しだけ青猫に視線を向ける。

 するとそんな星の様子を眺めるようにして、澄くんの肩の上にいる青猫がちらちらと視線を星に向けていた。

 猫嫌いの星は少しだけたじろいた。

「星、青猫が気になるの? もしそうなら青猫をリュックサックの中にしまおうか?」

 すると青猫と星のやり取りを見てたい澄くんが星にそんな提案をした。

「ううん。そのままでいいよ。大丈夫。心配しないで」

 星は笑顔で澄くんの提案を断った。さすがにリュックサックの中に閉じ込めるのは可哀想だと思ったのだ。

 そのあと星は珍しくおとなしくしている(怪我のせいでもあるのだろう)青猫の様子を少しの間、観察した。

 それから星は自分と海のことを澄くんに淡々とした口調で話し始めた。

 星は自分と海のことを澄くんに全部話した。

 澄くんは最初から最後まで、本当にきちんと星の話を聞いてくれた。

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