表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

171/447

205

「それは……、今はうまく言葉にできないの。でも、それでも無理して言葉にするとしたら、それは、これから成長していく過程で私が、きちんと私の理想とする『本田星』(山田海ではなくて)になれること……、かな?」

 星はそう言って、てへっと舌を出して作り笑いをする。

 星はふざけているように見えるが、(半分くらいは冗談だよ、と言った感じで星は話しているが)実は、その言葉は星にとって、とても大切な言葉であり、とても真剣な言葉だった。

(本田星は、その夢を(本当は)もうすでに叶えている。でも、それを本人が(まだ)認識していないだけなのだ。なので、あとはそのことを星が、星のこれからの人生において、現実の行動として、証明すればいいだけの話だった。その事実に魚も、それから澄くんも、なんとなくだけど、気がついていた)

「なるほどね」

 澄くんはそんな星の言葉を聞いて、本当に納得したように、何度も何度も、(なるほどと言いながら)深く頷いていた。

 それから、澄くんは食事の手を止めて、なにかを深く考え始めた。


「澄くん、どうかしたの?」

 そう話しかけても澄くんは返事をしてくれない。

 あれこれと目線や指の先を(へんてこな形に)動かしながら、……考えを続けている。

 そんなへんてこな? 行動をする澄くんを見て、どうしたんだろう? と思い、星はなんだか心配になる。

(実際に星は眉を八の字にして、心配そうな顔で澄くんを見ている)

『澄が変なのは、いつも通りなんじゃないの?」

 星の思考を読み取り、魚がちゃちゃを入れてきたが、大切な話の最中なので(あと少し前から、『ある理由によって』、星は魚の言葉を無視し続けていたので)星はそれを無視した。

 魚も自分の言葉が無視されることをわかっていたのか、あまり気にしていない様子だ。

 星はそんなへんてこな澄くんを見ながら、新鮮なしゃきしゃきのサラダ(これも美味しい)を食べて、パスタを食べた。


「星」しばらくして、澄くんが言う。

「え! は、はい」

 急に澄くんが真面目な顔と、真面目な声で、そう言ったので、星の背筋は思わずぴんと伸びてしまった。

 木製のフォークを置くと、星はナプキンで自分の口元を綺麗に拭いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ