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「うん。実は青猫にはね、『森の中に迷い込んでしまった人を見つけるっていう、不思議な特技』があるんだよ」と澄くんは言った。

「森の中に迷い込んだ人を見つける特技?」

 星は首をかしげる。

 ……この広い森の中で人を見つける? それってつまり青猫には、通常の猫にはないような、もしくはそれを超越したような特殊な、森の中にいる人を正確に感知する魔法のような能力(あるいは魔法そのもの)が備わっているということだろうか? 

「そう。なぜか青猫は森に『間違って』迷い込んでしまった人がいると、その人をところに向かって走っていく、っていう習性のようなものがあるんだ」

「その人が森に『間違って』迷い込んだってことを青猫が自分で判断するの?」

「うん。どうやらそうらしいんだ。手紙にそう書いてあった。逆に森にやってくる運命にある人には、森の案内役のようなことを引き受けてくれるんだよ。実際に僕は青猫に導かれるようにして、この真夜中の森までやってきたからね」と澄くんは言った。


「実は一度だけ、……半年くらい前かな? 小さな女の子が一人、森の中に迷い込んだことがあったんだ。そのときにも青猫は一人で勝手に走り出してさ、その先にその女の子がいたんだ」

「女の子?」

「うん。小さな女の子。六歳か、七歳くらいかな? すごくびっくりしたよ。その子が森の中にいて青猫に泣きついていたんだ。だから僕はその女の子を保護して、もう夜だったから一晩だけ家に泊めて、電話で街に連絡をして、それから迎えにきてくれた街の人たちに、森の門のところで、女の子をその人たちに引き渡したんだ。

 それが僕の森の門番としての、今のところ一番大きな仕事だったんだ。すごく緊張したよ。それで、今回の星のことが、その次くらいに大変な仕事かな?」と澄くんは(最後のほうは冗談のつもりだったのか、少し笑いながら)そう言った。

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